はてなキーワード: ハルキ文庫とは
自己解決気味
http://www.kadokawaharuki.co.jp/blog/blog.php?no=81
↑に書いてあるんだけど、要するにハルキ爺が苫米地のはったりにコロッとアレされて
角川春樹事務所の顧問だかなんだかにしちゃったっぽい。
そんなのに給料払うくらいならハルキ文庫SFもっと充実させてくれ!
目の付け所は良いんだから!
で、「ケータイ7」も「神様のパズル」もハルキ事務所が主体。と。どっちかっつーと「神様のパズル」のが本筋だったぽい。まぁそりゃおくすりパワーで六本木でモテるわ(暴言)。なんかスクツって感じでいーやね。旧き善き芸能界!
なんだっけかなー、ハルキ文庫版の『神狩り』あとがきだったと思うけど、山田正紀がちょうどあなたと同じくらいの年頃のことを回想してた。デビューしたもののそれだけで食うことはできず、アルバイトをしながら次回作を書きためてたっていう話で、彼は繁華街でサンドイッチマンのバイトをしながら、作品の構想を練ってたんだそうだ。朝から夜までずーっと立ちっぱなしで、誰ともしゃべらず、ただただ次作の構想を練り、帰宅したらすぐにそれを原稿用紙にぶつける。それがすごく楽しくて、毎日充実してた、って書いてたのが印象的だった。
あと、奥泉光のエッセイ集『虚構まみれ』にも、同じくらいの年頃の生活のことがいくつか書かれていた。基本的に貧乏で、まだ作家デビューもしてなかったんだけど、毎日家にこもって自分が思いつく限りの実験的手法を使った小説を書いていたっていう話。奥泉も、この頃の生活のことを、とても豊かで充実した日々で、「作家」になるためにはこういった「逼塞」の時期が必要なのだ、できれば若いうちに、と書いていたのが印象に残っている。
僕は作家ではないので、あなたが今直面しているような、長期に渡るライターズ・ブロックの経験はない。でも文筆業者の端くれではあるので、「文章を書く」という行為が苦痛に思えてしかたなかったり、まったく興味を持てなくなったりすることの苦しさ、恐怖はわかる(なにしろそれで食っていかなければならないので、書けないということは容易に生活の破綻へと繋がるわけだし)。「創作」という要素が加わった場合、その苦痛はさらに大きなものとなるだろうことも、なんとなく想像はできる。あくまで想像でしかないけど。
だからまあ、これは半分アドバイス(同じ文筆業者として)、半分無責任な言いっぱなし(作家ではない職業の人間の幻想)として聞いてもらいたい。あなたは今、貯金もそこそこあることなんだし、これから一年半くらいはなにもしなくても暮らしていけるはずだ。だからこれからの一年半くらいの時期を、二十代最後の、たぶん今後二度と訪れないであろう「逼塞」の時期として過ごしてみるというのはどうだろう。これは若い頃じゃなきゃできないし、作家以外の職業の人間にはなかなかできないことだ。孤独かもしれないし、何もしない日々が続くだけかもしれないけれど、それはとても豊かな営みじゃあないだろうか。高等遊民としてこれからの一年半を過ごすのだ。
確かに400万という金は、他の人が書いていたように、一生を託す金額としては「鼻クソ」かもしれない。だけど、独り身で一年ちょっと暮らすには十分だ。恐れることはない。余裕をもって、何もしない日々を優雅に過ごせばいいじゃないか。僕は作家ではないので、具体的に何をすれば「創作」の意欲が沸いてくるのかについては何も答えられない。しかし、「今日も何も書けなかった」と何かに追われるような日々を悶々と過ごすよりは、これから先、一年ちょっとの余裕があるのだと考えて日々を生きるほうが、まだ何かが沸いてくる可能性があるんじゃないか、とは思うよ。金が尽きたときのことはまったく考える必要はないよ。金が尽きたら働くか、あるいは野垂れ死にすればいいだけなのだから、悩むほどのことは何一つない。二択だ。シンプルだ。自由だ。
あとはやっぱり、他の人も書いてたけど、体を動かすと楽しいよ。特に働く必要がないなら、一人でできるスポーツをするといいと思う。体を鍛える系じゃなく、なるべく遊戯的なものをね。バッティングセンターとか、ゴルフの打ちっ放しとか。あと水泳も楽しい。自転車なんかもお勧め。
いやほんと、体を動かしてると、机の前に座っているときとはまったく違う言葉が見えてくる。あるいは言葉がぜんぜん考えられなくなることもあるけど、そういうときは疲れて休憩してるときに反動でぶわーっと言葉が沸いてくるんだなこれが。面白い。世の中には我々が想像だにしない面白いことや楽しいことがごく身近に、簡単にアクセスできるところにごろごろ転がっているんだけど、そういうのは時間に余裕があるときじゃないとぜんぜん気づけない。だから今あなたのように時間に余裕がある人がほんとうに羨ましい。
なんだかとっちらかった文章になっちゃったけど、これから、いつか、あなたが書く新作が、多くの読者に喜ばれ、受け入れられることをお祈りしています。