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2010-07-08

僕は詐欺師じゃない

こないだ、街を歩いていたら

「この詐欺師!」と怒鳴られた。

おかしな話だ。

僕は今までの人生詐欺など働いたことないし、

相手のことも知らない。

だが少しだけ思索してみた。

もしかしたら、

この人は僕の風貌だけ見て詐欺師だと判断したのかもしれない。

だとしたら納得がいく。

僕はスーツ蝶ネクタイシルクハットにステッキ

セカンドバッグを小脇に抱えてチラシの束を持っていたのだから。

それなら仕方ない。

彼に対する恨みは忘れよう。

こちらにも非があった。

だが彼は、

僕の目を見て「この詐欺師!」と言った。

つまり、僕の風貌など見えていなかったということだ。

僕の目しか見ていなかった。

だとしたら、彼は僕の目というか人相だけで判断したということだ。

これには流石に腹が立った。

というのも、僕は昔から人相だけで悪い印象を持たれることが多いからだ。

ともかく僕は彼を蹴ると、いちもくさんに逃げた。

彼は追いかけてきたが、知ったことか。

僕は足が速いんだ。とにかく逃げた。

最終的にはタクシーに乗って逃げた。

これなら追ってこれまい。

しかしタクシー代がかかってしまった。

僕は財布に2000円しか持ってなかったので、

そんなにタクシーに乗っていられなかった。

途中で降りて、また走って逃げる。

さすがに相手の姿は、もう見えなくなったが、それでも念の為に逃げる。

ここまで来れば安心だと思い、僕は山頂で魔法瓶の水を飲んだ。

ゴクゴク。なんて美味しいんだろう。

しかし彼は一体どうなっただろう。

僕に蹴られて追いかけて、結局つかまえることが出来なかったのだから。

さぞかし悔しい思いをしただろう。

だが、そんなのは知ったことではない。

しかし流石に罪悪感を覚えたので、

せめて彼の言うとおり詐欺師になってみようと思った。

そうすることで、彼は自分が間違っていなかったと思うことができるからだ。

僕は自分の慈悲深さに感嘆した。

さっそく自販機で缶ジュースを買うと、

そのジュースを水で薄めてペットボトルにした。

さらにそれを道行く人に売って、そのお金で複数の缶ジュースを買い、

ペットボトルにし、売り、買い、薄め、売り、買い、薄め、売った。

そんなことを20回ほど繰り返した頃だろうか。

飽きた。

最終的に12万円ほど儲かったが飽きた。

やはり金銭というのはモチベーションたりえない。

そう悟った僕は、彼が僕のことを詐欺師だと言ったのは、

やはり間違っているなと思った。

自分先天的詐欺師ではない。

とにかく、しばらく経ってから罪悪感が沸いてきたので、

その金を全部ドブに捨てた。これでよかったのだ。

そんなことを思いつつ、僕は自分善行にまた感嘆するのだ。

2007-09-07

葡萄

http://anond.hatelabo.jp/20070907163458

午後四時を回った休憩室には私しか居なかった。皆、工事に出ているのであるから当然の話である。

今日担当分はずいぶんと早く終わった。実は十件と思われた工事がメゾネット式の社宅のものだったのでまとめて片付いたのだ。予定より一時間は早い。

西日の差す無人の休憩室は焼け切った畳の10畳間で窓際に折りたたみのちゃぶ台が二つ、冷房も効いておらずやたらと暑かったクーラースイッチを入れ、壁の扇風機を「強」にして開いた襟から風を吹き込むと一体と貼り付いていた衣服が汗にひんやりとして肌と分かれる。

いつもの様に湿ったツナギをその場で脱ぎすて、窓の下の座布団の山から一枚取り、さっき持ってきた魔法瓶から冷えた麦茶を入れて座ろうとしたときちゃぶ台の上の籠に目が行った。事務の娘の土産らしい。大きな赤い粒の葡萄が三房ほどあって「皆さんでどうぞ」と付箋がある。

房を一つ摘まんで持ち上げると下側のすわりの悪い粒がいくつかコロコロと落ちてしまった。ああしまったと目で追うと脱ぎ捨てたツナギの胸の辺りまで二つ。

ツナギは縒れて腰を捻り手が胸を隠すような様子にも見え、そこにちょうど乳首のように収まった葡萄の粒が奇妙に卑猥に思えた。何の根拠もなく、ツナギ葡萄が織り成す裸体らしきものに葡萄をもたらした事務の女の子のそれを重ねて想ったのである。

私は仁王立ちのまま、湯飲みの麦茶を一口すすり、ツナギの裸体を眺め続けた。少し腰の括れが足りないか、と足の先で少しツナギの布を押しやり腰のくびれ具合を調整したりしながら。

ふと人の気配を感じて顔を上げると入り口ガラス引き戸の向こう、そこにその事務の女の子が驚いた表情で固まっていた。そして気づくと同時に彼女は顔を伏せて奥に逃げ帰った。

バツの悪さと突然のことに戸惑いながらも我に返ると、どうやら私は下着姿のまま勃起していたらしかった。

2007-03-09

「味覚極楽」箱入り初版本の上にお茶こぼしたああああ……!

魔法瓶空中分解するなんて誰が思うよ!

こないだアンティークのカップを割ったときにも思ったものだけれど「もうこれから先けして増えることはありえないもの」ってとても多い。

例えば「平安時代に出来た××」なんかは、これからどう頑張ったって増えることはないわけだ。

極端な事を言えば、そのうち必ず「平安時代に出来たもの」は絶滅するだろう。凄く遠い未来になるだろうけれど。

それに、精一杯、できる限り守ろうとしても、その守れる数には限りがあるし、

価値のあるものをしっかり選び出して守っているつもりでも、それは「今の基準による価値のあるもの」でしかないわけだ。

後になって「惜しい事をしたな」と気付いてももう取り返しが付かないことって一杯ある。

『再発見はなされた、しかし遅すぎた』というようなことが。

解決作、こればっかりは見付からない。

全てのものを後生大事にしまいこむことなんて出来ないのだし、新しいものを生み出し続ける事だって大切なのだし。

でもやっぱり、なくなって欲しくないものって、あるよなあ…。

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