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2007-05-11

'80 年代とバブル時代を混同しているやつがいる

明らかに、それは間違っている。

'80 年代のピークと言えば、ちょうどプロ野球阪神タイガース吉田監督のもとで日本シリーズに勝利をおさめた頃だろう。

その頃の我々は、それより以前のアイビー/プレッピー・ブームからは脱却し、MTVSONY Music TV に入れあげていた。マドンナやデッド・オア・アライヴフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、あるいはポールハードキャッスル「19」といったアーティストや曲の 12inch バージョンカセットにダビングして友人やカノジョに配っていたものだ。

就職状況としては、プラザ合意に端を発する「円高不況」のために、まだまだ産業の主軸であった大方の製造業は採用を強く抑制していた。したがって、今のフリーターニートどころの騒ぎではなかったはずだ。

ところが、NTT 株の放出、およびその値上がりをキッカケとしてバブルが始まった。株って儲かるのか、という意識が市井に広まった。買いが集まればとうぜん株価も上がる。どんな銘柄を当てずっぽうに買ってもキャピタルゲインを手にできるという状況があった。

音楽面では、しかし、その頃にはもう先述のようなハードディスコ・サウンドは影を潜めていた。ステイシー・Qやバーデュー、ペット・ショップ・ボーイズ、あるいはサマンサ・フォックスといった軽めのサウンドが流行したのがこの時期だろうか。

そして、バブル崩壊の瞬間は突然訪れる。そう、1990 年年初の東証大発会のときの株価大幅下落だ。通常、大発会は新年祝儀相場と呼ばれ、株価は上昇する。しかしながら、それまで見たこともなかったまったく逆の事態に、関係者たちは一様にうろたえた。あとは知っての通りだ。

偶然バブルの終わりと '80 年代の終わりとが重なっていることが、両者を混同させた最大要因と言えるだろう。さらに、その後にもジュリアナヴェルファーレといった「文化」があったのは言うまでもない。しかし、それらとて打ち上げ花火のようなもので、長続きすることはなかった。

本当の '80 年代とは、皆がほど良く貧乏で投げやりで、しかしながら楽しむことにかけては人に負けたくない、そんな時代だったのだ。

 
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