2022-01-19

感染者数は7377人なのに重症者数はたった10・・・の誤解

東京都 新型コロナ 7377人感染確認 去年8月を上回り過去最多に | 新型コロナ 国内感染者数 | NHKニュース
参考: f:id:Knoa:20220119173026p 入院と重症の推移

デルタ時に都基準の重症者数と最も相関した「11-17日前の感染者数」が本日からさかのぼって合計すると3515人、11日後にはこれが計3万2189人になります。

(単純計算で11日後の重症者数を占うことはできませんが、少なくとも当日の感染者数を手がかりに当日の重症者数を語るよりはマシな指標です)


  • デルタ時に都基準の重症者数と(上昇局面において)最も相関したのは「11-17日前の感染者数」。
  • オミクロンも相関する期間が同じだとは限らず、実際にオミクロン以降は1月19日現在で「14-20日前」(計949人、17日後にはこれがやはり計3万2189人になる)が最も相関するようだけど、重症者の絶対数が10人と少ない段階での相関はまったくアテにならない。
  • オミクロンの重症化率もワクチンや治療の進歩も含めて当然デルタと同じではなく、デルタ当時とまったく同じ条件だとしたら重症者はいまごろ30人くらいでもおかしくないけど、だからといってそのまま今後とも30分の10で計算していいわけでもない。
  • 現在の10人の中にはデルタによる重症者も含まれていると思われ、もしそうであればオミクロンの評価としてはなおのことアテにならないが、今後、過去の感染者に対する重症者の比率は減ることが期待できるという意味では好材料。
  • もっとも、検査能力に限界があるので、今後の感染者数が「重症者数に対する先行指標」として正しく実態を表し続けられるかというと、心もとない。


大切なのは「過去のある程度の期間の蓄積が反映される」という考え方です。

参考: f:id:Knoa:20220120011919p 「過去のある程度の期間の蓄積が反映される」イメージ図

極端な例ですが、感染者数が「きのうまで30日連続4900人だったけど、きょうはついに5000人」という状態と、「きのうまで30日連続100人だったのに、きょうはいきなり5000人」という状態では、その日の重症者数が違うというのはわかりやすいはず。後者に近いことが起きているのが今のオミクロンによる急増です。確かにデルタに比べれば重症化率が低いなどの好条件はありますが、それに気をとられて実態以上に都合のいい解釈をしてはいけません。それはそれ、これはこれ。冷静に、慎重に。

(あとめちゃくちゃ念のためですが、報道される重症者数というのは「その日に新規に重症になった人」ではなく「その時点でベッドにいる重症者」のことです)



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