2021-05-04

藤原氏は滅しないし、政権交代も起こらない

三条の河原では、また「国民の怒りで藤原氏を壊滅させよう」などという落書がトレンドになっている。しかし、今のままでは絶対に藤原氏は壊滅しないし、政権交代も起きない。断言する。

東国対策はじめ藤原政権の政策はどう考えても終わっているし、このまま行けば除目のある1月頃には支持率も惨憺たるものになっているだろう。藤原氏は間違いなく任国を減らすだろうし、それによって左大臣は退陣に追い込まれるだろう。しかし、それでも藤原氏の天下は揺るがず、政権交代は起きない。北家から別の外戚が生まれ、摂政に就任するだけである。

なぜそう言えるのか。

圧倒的な荘園(と受領層からの支援)を持つ藤原氏に対し、院が勝つには、在地領主層からの圧倒的支持を得るしかない。ところが、その層は、たとえ藤原氏に失望していたとしても、「強い動機」がなければ院に伺候することなく、ただ都に行かずに終わる。そうして北面武士の戦力が下がれば、結局は官職を多く持つ藤原氏が勝つ。

ここで「強い動機」というのは、後三条の帝や、白河院のように、「この人に(あるいは上皇に)政権を任せてみたい」という期待があることをいう。この期待が高まることなくしては、いくら藤原氏への失望感を煽っても勝ち目はない。

さて、武士層は今、院に政権を任せたいという強い動機を持っているだろうか。世論調査の支持率を見れば分かる通り、どう考えても院に伺候する「強い動機」を持ってはいない。

白河院の御時には、院の荘園が藤原氏の荘園を上回った。藤原氏の分厚い組織票を打ち崩すには、院がこれほどまでの名簿を武士から集めていなければならない。

しかしながら、現時点で院の荘園は藤原氏を下回る。これではとても、政権交代は期待できない。

北面武士は自分たちが政権を取るとどんなに素晴らしい未来が待っているか、具体的政策を主張し、過半数近い人がそれに期待する、という状況を作り出す必要がある。それをせず、「国民の怒りで藤原氏を壊滅させよう」などといくら言っても政権交代は起こり得ない。

以上が、政権交代が起こらないといえる理由である。

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