2020-10-06

宝塚ファンTwitter平和になる方法を教えてほしい

自分は1人のしがない宝塚歌劇ファン(通称ヅカヲタ)である。

大半のひとにとってはどうでもいいことなのだが

最近ヅカヲタとTwitterの相性の悪さに頭を悩ませており、

議論できる仲間も特にいないので

広く教えを請うべく増田に書き連ねることにした。

相性の悪さが具体的に何を指すのかというと

「(他ジャンル以上に)悪口の無法地帯になりやすい」ということである。

穏やかに過ごしているつもりでも定期的に悪口(とお気持ち表明)にぶちあたってしまうのだ。

アイドルやスポーツファンに比べると日常生活でヅカヲタと知り合いになる確率は

圧倒的に低いので、せめてSNSだけでも仲間とわいわいしたいと思うのだけれど

公演名を打つだけで、あるいはタカラジェンヌの名前を検索するだけで、

そもそもTwitterのサジェストが既に悪意のあるものだったりする始末である。

なんとか平和なヲタライフを送りたいのでひとまず原因について何点かまとめてみた。

※以下、非常に夢のない表現が続くのでピュアなヅカヲタは注意されたし。

客層の圧倒的薄さ

もしあなたが初対面のひとに「趣味は宝塚です」と言われたらどう反応するだろうか。

殆どの場合「へえ・・」とか「あぁ・・」と言って会話が少し詰まる。

初手から「あーちょっとわかんないんだよね」とやんわり否定から入られる場合もある。

少女漫画のようなビジュアル、独特の歌や言い回し、熱狂する女性たち。

なんか近寄りがたい女の園、とかイロモノって感じだろうか。

そのハードルの高さについては、ファンも重々承知している。

劇団員は完全専属で、他の舞台に立つこともない。

テレビで有名な俳優が出るから〜みたいなきっかけも無い。

自分自身、学生時代にヅカヲタから強烈な布教を受けたから入信したという経緯があり

それまでは全然興味がなかった。

基本的にパフォーマンスを見る機会が「劇場」に限られるうえに

ジャニーズばりに画像利用やジェンヌ本人の発信に制限があるため

新規の多くは布教か親族からの伝承である。(たまに漫画実写化)

芸能人の発信を目にして親近感を覚えることが少なくない現代だが

我々は「おとめ」という雑誌を買わなければ好物を知ることもできない。

極稀に音楽特番に出演すると他の出演者目当てに見ていたひとの間で

「かっこいい」「綺麗」などと多少話題になり、ポジティブなツイートが伸びる傾向があるので

やはり層の薄さと偏りが与えている影響は大きいように思う。

10年単位のサバイバルとファンの姑化

宝塚には「スターシステム」というものがあり

5つの組、その山の頂上を目指すファンとジェンヌ二人三脚のサバイバルが年単位で行われる。

トップ以外のポジションにも語りきれない魅力があるのだが

とかく頂上に立つには順調に行っても10年以上はかかるシステムになっている。

新人公演の主演など段階がいくつかあるので、

当然そうした抜擢がきっかけでファンになるひとも多いのだが

古参となれば台詞もない、極端な例では芸名もない一生徒の時代から応援するひともいる。

他の界隈でもスポーツ選手など10年単位で応援することもあるが

通常はその過程でメディア露出が増えたり、一般認知度も上がっていくのに対し

宝塚の場合はヅカヲタという限られたパイにおける認知度のみが上がっていくという違いがある。

しかもDDとか箱推しよりもやはり個人ファンが多いので、ファンの対立も増えていくという感じだ。

舞台界隈ではよく自分の好きな人を「ご贔屓」と呼んだりするわけだが、

二次元の推しとも異なる「わしが育てた」感。俺の嫁というより「私の息子」感。

頂上を目指す長い山登りの中、息子の上にいるひと、息子と同じ高さにいるひと、

そして登頂した先で息子の隣にいる女性(トップスターとは別にトップ娘役がいて、この2人が組の顔となる)

一度気に入らないと思ってしまえば、年齢に関わらず、めっっっっちゃ面倒くさい姑が誕生するのである。

どこでもそんなもんじゃない?という気がせんこともないが

休憩時間とはいえ2000人規模の現場でも

はっきり聞き取れるぐらいのdisが聞こえてくるというのは珍しいんじゃないかと思う。

ただスターシステムこそが宝塚の大きな持ち味であるのは明白で、

多くの少女が宝塚を目指し、切磋琢磨するモチベーションそのものでもある。

全員手を繋いでゴ〜ル、みんな1位☆だったら106年も続かなかったと思う。

またフェアリーに年齢は存在しないが、10代半ばでこの世界に放り込まれることを思えば

スターシステムは彼女たちを支える人々の存在を前提にしているとも言える。

仕事でもないのに誰かを年単位で支えるというのはある種の執念が無いと難しい。

したがってここにメスを入れるとか改心を迫ることは宝塚自体をぶち壊すリスクがあり、非常に難しい。

また5つのグループにはそれぞれ70人以上の女性が所属しているので

頻繁に中心メンバーを変えるというのも現実的ではない。複数トップにしたり

主要な番手を曖昧にしたり、一旦他のポジションに移動させるとかもあったが

当時ですら不評であり、現代なら更に荒れそうな予感しかしない。

フェアリーの世界にはSNSはないので棲み分けもしない

とはいえ熱狂的なファンというものは2次元3次元問わずどこにでもいるものである。

ただ大抵のファンというのは「本人」とか「公式」に何か迷惑がかからないように、

更に言えば、何かで訴えられないように最低限の気を遣って棲み分けをしてきた。

最近は曖昧になっている節もあるが、本人の前で言えないようなことを

表現するときには鍵をかけたり、絵文字を駆使した特殊な言語を使ったり

パスワードをかけたりして「見つからないように」しているひとは今も少なくない。

ただ、タカラジェンヌというのはフェアリーであって、

俗世間の人間とは異なる存在であるため、Twitterのような俗の極みツールは一切使用していないということになっている。

実際のところ、退団後の公式SNSの文面から本当にやってなかったんだこのひと・・と思うこともあるがその逆もある。

やってない前提なので仮に見ていたとしても「Twitterで〜」みたいな発言は禁句である。

100歩譲って「皆様から沢山の温かいお言葉を頂戴いたしました」程度だ。

コロナ禍においてはOGが「現役にも伝わってますよ」的なニュアンスの投稿をすることもあった。

とはいえ舞台オタクには定番の入り待ち出待ちも存在するので、温かいお言葉は全てお手紙という幅も持たせている。

※コロナのため現在入出待ちは禁止されています

ただ、温かいお気持ちについて触れることはあっても

妬み嫉みみたいな汚物は存在しない世界観なので現役が「あの言葉に傷つきました」「エゴサして落ち込みました」といった

SNSについてのネガティブ発言をすることはない。めっちゃ病むとかもない。そもそも発信する機会がない。

先日、音楽学校(養成学校)のハード過ぎる不文律の廃止が話題になっていた通り

もともとが超体育会系集団でもあるので「見て(使用して)いない」に加え「そんなことで傷つかない」というダブル建前ができる。

・・・という都合の良い解釈をしているオタクが結構多いので全然棲み分けされない。鍵もかけない。

そういうひとに限ってプロフに「清く正しく美しく」とか掲げてたりするのでめっちゃ怖い。

内容としては真偽不明の噂から、実力がスタイルが顔が態度が言葉遣いがとか人気が〜とか言って恥とこき下ろす悪口展覧会みたいな感じなのだが

リアル垢を兼ねている人が少ないこともあり結構RTとかいいねが集まってしまったりする。

※補足すると、この文章もそうだが

感想を含め基本的に長文になることが多いので、この界隈ではまだまだブログが健在である。

長年続いているブログほど評論家っぽくなり、好みも隠さないし、その辛口文体を引っさげてTwitterに進出したりするので

その背中を見てボロクソ書いているひともいるんだろうなあとは思う。

結果として上位に中傷ツイートが表示され、それに反論するお気持ち表明も増えるので

なんかもう愛とか夢とは正反対の不穏な世界が広がっていくのである。

以前、エゴサを公言するアイドルが「名前の後ろに【ちゃん】をつけたりポジティブな言葉を入れて検索する」と

言っているのを聞いて、とても良いアイデアだなと思ったのだが、宝塚の場合、芸名の癖の強さに対して

愛称は本名の下の名前だったりするので、そこら中に同じ愛称のひとがいて全然絞り込めない。

更に肖像権の問題でアイコンでの判別も難しい。当然悪意のあるひとはエゴサにかかるように芸名で書くので

他の芸能人よりも純粋なファンが探しにくく、地雷は踏みやすい仕様になっている。

・・・という感じである。

個人的にはせめて所属団体である劇団から釘を刺してくれよとは思うのだが

前述の通りジャニーズばりにSNSを遮断してきたため

今年やっとこさ公式LINEやインスタを開設したという感じで、つまりSNS初心者なのである。

ちなみに先日アクリルカード(持ち歩いて推しと記念写真を撮れるアレ)も発売されたのだが

個人的に問い合わせたオタクが「写真のSNSへのアップロードはNGらしいです!」と拡散した

数時間後にグッズ販売元が「写真撮ってどんどんシェアしてくださいね!」と投稿するといった事故もあり

行き当たりばったり感が凄い。ただポストコロナを考えると今後もSNS展開は進めていくつもりなのだろう。

それは歓迎なのだが、一方でこの地雷原については完全に野放しである。

宝塚は阪急電鉄の一部門であり、その成り立ちや規模から

いわゆる芸能事務所のようなマネジメントを行うのは困難と推察されるが

仮にSNS担当者がいるのであれば、この現状を全く把握していないとは思えない。

むしろ地雷を踏まずに済む方法があるのなら教えてほしい。

入り待ち出待ちの写真撮影についての声明を出したのだから誹謗中傷も出せるだろとは

思うのだが、この生々しさがすみれコード的にアウトなのだろうか。

議題から逸れるので全然説明できなかったが宝塚は本当に素晴らしいコンテンツで

クソみたいな現実を忘れさせる力を持っているので観劇は続けるだろうし

個人の問題としてはコンテンツとしての消費に留め

コミュニティとか感想の共有といった交流を期待しなければ平和に過ごせるだろうと思う。

ただ少し気になるのは、タカラジェンヌたちの目に触れたら・・ということである。

これはコロナよりずっと前の話なのだが

ある方が退団を発表した際にTwitter公式が作るモーメント

(おすすめのトップに出てくるやつ)を何気なく覗いてみたところ

退団を純粋に惜しむツイートが並ぶ中「○○と○○が居座らなければ退団しなかったのに許せぬ」みたいな

ガッツリ悪口が載っていたことがあった。作成が手動か自動かはわからないが

いずれにしろそれなりにいいねとRTを稼いでいたからピックされてしまったのだろう。

本人たちが見てしまったら一体どう思うだろうと非常に悲しくなった。

このコロナ禍において彼女たちは

芸事に精進するあらゆる人々と同様、舞台を失い、空白の日々を過ごした。

そして我々一般人と同じ、もしくはそれ以上に外出や外部との接触が制限されている。

何より常に「清く正しく美しく」生きていかなければならない。

公演も再開され、少しずつ通常運転に戻りつつはあるが先が見えず不安定な状況には変わりない。

そんな中でふとSNSに手を伸ばしてしまうこともあるだろう。

ただの暇人の自分が純粋にヲタク仲間を探そうとして地雷を踏むのだから、エゴサなどしようものなら・・・

それを思ったときに、最近のいろんなことを思い出して、非常に恐ろしく感じるのである。

どうやったらもう少し平和になるものかなと考えたが

理由を挙げれば挙げるほど、手の出しづらい聖域が横たわっていて

やっぱり「無理」という結論しか出てこない。

杞憂、考えすぎであればいいのだけれど。

今年ほど「考えすぎ」という言葉の空虚さを感じた年も無かったので。

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