互いに互いの墓穴を掘り合うその汗と涙と血とよだれの様なるや、幼子が庭先の石を裏返し、産まれてはじめて見るゲジである。
はじめは怯えてそのまま泣き逃げ、次第に驚き石を力いっぱい戻すようになり、次第に靴の踵で重みいっぱい踏みつけるようになり、いやな虫を我が身で殺したという達成に湧き上がる歓びが心を潤していく。
互いにゲジゲジしあうその美しい姿に取り込まれまいと、私は今日もカメラを構える。
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