2010-10-11

アリスインカジノ

その女の子自分が誰よりも優秀であると思っていた。

“軽度の”“自称”幼児趣味者が集まるカジノに勤めていた時、

彼女は24歳という年齢にもかかわらず完璧なまでのニンフェットだった、

と、彼女は今でも自分で思っている。

 

アンミラアリスが混ざったような、

胸元だけがぱかっと空いて乳首が見える水色のワンピース

レースがごてごてとついた白色のエプロンを着て、

デコルテに白いパール入りのクリームを塗って

目元には赤でアイシャドウをさして、茶色のマスカラをした。

 

乳首は残念ながらピンクではなく、

紫の混じったブラウン色だったが

“自称”幼児趣味者にとってはその乳首

彼女が本当には子供でない証として重宝された。

本当の子供には発情できない男の人たちに彼女

無邪気な笑顔を作ってお酒を勧めて周り

 

同僚が別室でカジノの客とセックスするのを聞きながら

自分では体を直接的に売ることはしなかった。

 

彼女が胸元が開いたアリスの服を着てまで

カジノ勤めをしていたのは2つの理由がある。

 

ブラックジャックが大好きで、毎日でも遊びたいが

お金はそんなにないし、警察の手入れにあって逮捕されるのが

怖かったというのが1つ。

ウエイトレスなら警察の手入れにあっても逮捕されない、と言われていた。

 

もう1つは今でも呆れてしまうのだけれど、

アリスの格好をしてお金持ちの男の人の上の膝を

飛び回っているとき、私は世界自分が一番

強くてきれいで賢い人間になったような気がした。

 

弱い男の人を翻弄するニンフェットなんて最高だ。

 

 

でもそんな春がいつまでも続くわけがない。 

ブラックジャックカジノゲームの中で唯一カジノ側の利益約束されていない。

だからカジノからはどんどんブラックジャックが消えていった。

バカラハウスだなんてつまらない名前に“アミューズメントカジノ”は

名前を変えていった。

 

札が配られた瞬間に決まっている勝負なんて興味ないと

バカラにだけは彼女は手を出さない。

ブラックジャックが好きなディーラー

朝に何時間でも勝負をした。レートは変えたけど、

お金はかける。お金の動きがないカジノなんて屑だ。

 

客が来ない明け方にプレイ台に突っ伏して寝ている姿も

裏方でつまみのナッツをひたすら砕いている姿も

おおよそアリスらしくない姿をたくさん見ている

ディーラーはそれでもいつでも優しかった。

朝にいつでもブラックジャックに付き合ってくれた。

その代わりたまに彼とはセックスをした。

客のための隠し部屋、ウエイトレスが体を売るための部屋で

エプロンがずるずると肩からずり落ちていくのを

面倒くさそうに退けるしぐさにたまらなく欲情した。

エプロンをつけていなきゃいけない夜と

そんなものが邪魔になる朝。

価値観の反転、違和感、そんなものが好きだった。

ルーレット宅の上で足を広げて、ホイールの持ち手の上に身を沈めて遊ぶ。

そのままくるくる回る卑猥な光景がバカみたいに輝いていた。

 

 

 

もうアリスがいたカジノはどこにもない。

つぶれて消えてしまった、よくあることだ。

その女の子は30歳になり、アニメ製作会社オタク男性結婚した。

彼女は彼とよくアニメを見ているが、

アリスモチーフお話や、地下ギャングの話を見ると

今でもカジノアリスとして乳首露出させながら

働いているような気分になる。

 

なんだか夢のような時代だったなと

そしてまだ夢の中にいるようだと

彼女は今でもぼんやりそう思う。

アリススカートの中に呑まれたホイールは、

今でもどこかの街で回っているのだろうか。

 

回っているといいな、と彼女は思う。

あんな美しい光景がこの国からなくなったら、

もう生きていけないような気さえするのだ。

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