別れ際、わたしからハグのつもりで抱きついたから、自分から誘ったと言えばそうかもしれない。
はじめてだった。
少し酔っていたせいもあって夜は平常心だったけど、その後、ホテルの窓に降り注ぐ朝日がまぶしくて、お天道様の下、急に自分のしたことについての喪失感とおぞましさがどっと出て大泣きした。「わたしは子どものままでいたかったんだ」と彼の肩に抱きついて訴えた。本当に、わたしは子どもでいたかった。何も知りたくなかった。でももう手遅れで、そんなの分かってた。
その次の週はずっと(こんな恐ろしいことをして大人として生きるなら、いっそ何もかも捨てて出家しよう)と、けっこう真剣に考えていて、でも同時に、彼の大きな手に抱かれて眠ることの安心感にうっとりしていた。その気持ちよさたるや、まるで赤ん坊に戻ったみたい。「大人」って、こんなにうっとりとした、すてきな思いをしているのかとも思った。
大人になるって、誰かの前で子どもになれるってことなのだろうか?
わたしは恋をしているのだろうか?
あ~よくわかんない。
齢27で、こんなこと、誰にも言えやしない。彼にはもちろん打ち明けたけど、彼以外にはぜったい秘密だ。
こういう話を見ると、ますます童貞捨てたくなくなるな。 最近は、ドン引きされるように「セックスなんて不潔です」って信じることを頑張ってみてる。
セックスしようが子供は子供のままさ
誰にも言えないってのは、匿名日記にも書かないってことだと俺は思うんだが。 村上春樹の読み過ぎだろ。