2010-08-17

サマーウォーズはこういう話

「ある弱小野球部が、甲子園を目指すことになる。上手い選手ピッチャー1人だけ。残りの選手は一見カスだが、ある者は家が金持ちなので、練習場所や特注のバット提供する。ある者は実はコンピュータの天才で、パソコン戦術シミュレーションする。ある者は心理戦に長けていて大人たちを懐柔する。陸上部からの助っ人は、まともに打てないが駆け足だけはべらぼうに早く、非現実的な盗塁をやってのける。そんな感じで全員が協力し、見事県大会で優勝する」

上の話は今適当に考えたものだが、強烈な既視感を覚えないだろうか。恐らくこのような物語過去、何十作品、何百作品、下手すると何千作品と存在する。「それぞれがそれぞれのポジションで頑張って目標を成し遂げる」話は、超王道なのだ。

サマーウォーズも例に違わず、この王道パターン踏襲した話である。ある者は数学で、ある者は花札で、ある者は格ゲーの腕で戦って敵を倒す話である。なので、全体の骨格について批判するのは賢いとは言えない。サマーウォーズの骨格を否定するならば、スポーツ漫画、バトル漫画の過半数も否定しなければダメだ。

では次に検討の対象になるのは、肉付けの部分だ。サマーウォーズの肉付けの特徴は、次の2点である。

1.バトルの舞台バーチャル空間である。

2.協力し合う仲間は、田舎大家族である。

1は今日既に珍しいものではない。マトリックス以降、サーバーパンクはもはや王道ジャンルの1つである。

2はどうだろう。実はこれ、珍しいんじゃないだろうか。ほとんどの協力バトル物語では、仲間は部活メンバーだったり、クラスメイトだったり、軍隊会社の一部門であったりする。「田舎大家族」設定は、サマーウォーズ独自のものと言って良いだろう。

では、この設定は本作において生かされているだろうか。答えはYESだ。「部活メンバー」や「クラスメイト」設定に比べて、年齢も職業も違う家族のほうが能力バリエーションがつけやすい。より多角的な戦い方が出来る。その分散漫に鳴りやすいという欠点はあるものの、試みは一応成功している。

というわけで、僕のサマーウォーズの評価は、「協力バトルものという王道物語を、田舎大家族という設定で味付けした、無難普通に面白いアニメ」である。特別斬新な試みがあるわけではないが、disる要素もない。

サマーウォーズを楽しんで観ている層は、情弱でもないしオタクでもない。普通に面白い作品を普通に面白がりたいという、ごく普通の人たちである。叩いている層は、このアニメエヴァのような何かを求めていたのではないだろうか。それは完全にお門違いである。サマーウォーズエヴァではなく、むしろドラえもんである。

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