人間は欲望なしには一秒たりとも生きられない。いや、欲望のない人間は死ぬ。それだけだ。
文明が生まれて数千年経つが、大自然の前では吹けば飛ぶような脆いあばら屋をここまで持ちこたえさせてきたのは人間の欲望に他ならない。
人類はひたすら願ってきた。もっと楽になりたい、苦しみから解放されたい。
暗黒時代においてはそのような考えは悪とされてしまった。なぜか?都合が悪いからである。宗教は都合の悪い考えを封じ込め、奴隷を奴隷のままでいさせるためにつくられた。
それでも欲望は止められない。そして暗黒時代から抜け出すために、人類は科学をうみだした。闇を照らす光。欲望を糧として動き、未来を切り開くための装置。
人が欲望のままに自然の掟から逃走することを、私は堕落化と呼ぶ。しかしこれは悪い言葉ではない。これこそが人類の真なる願い。
歩きたくないから車を造り、電車を造り、飛行機を造った。料理をするのが面倒だから外食産業が生まれ、コンビニができた。暑いのはいやだ、寒いのもいやだ、飲み水を確保するのにもっと楽な方法はないのか、手紙は時間がかかり面倒だ、遠くの人と話がしたい、そんな些細な欲望から大掛かりな欲望まで全て人類が正しく生きてきた証なのだ。
いまだに欲望を否定する宗教主義者、自分が享受している快適な生活を忘れ欲望を否定する精神病患者達はいますぐに社会から退場すべきだ。
今、人類は猛スピードで自然というゆりかごから離れ、理想の楽園をつくりだすための準備をはじめている。障害は取り除かなければならない。
全ての欲望を認めよう。人類がより堕落化するために必要なすべての欲望を認めるのだ。自然という神におびえていた時代から、人類が神自身となる新たな時代へ。
自分が神だなんて思い上がって、 思い通りにするために手段を選ばない人間が怖いです。