2010-03-20

http://anond.hatelabo.jp/20100320035305

「来て、くれたんだね」

引っ越してきたばかりの部屋。開けてもいない段ボール箱が壁際に並べられただけの無機質な光景のなかで、ありがみんの目に映るのはからぼうやだけだった。

「もっと早く来てくれると、思ってた」

「ごめん」

優しい目でありがみんを見やったからぼうやは、がさごそとコンビニの袋をひろげる。

プリン…… 食べれるかな」

心なしか頬や額を赤く染めたありがみんが答える。

「うん、大丈夫だと思う」

気だるげに上半身をもちあげ、プリンを受け取るありがみん。その肩に、そっとカーディガンをかけてやるからぼうや。

「けっこう熱出てないか?」

からぼうやの問いに、スプーンをくわえながらありがみんが答える。

「熱は計ってない……。荷物のどこに体温計があるかわからないし……」

おでこ、いいかな……」

控えめな声とともに、ありがみんの前髪を持ち上げるからぼうや。

「からぼうや、近いよ……」

からぼうやは、そのまま自分おでこをくっつける。

「あついね」

「こっちはよくわかんないよ……」

ふたりの影はひとつひとつに溶け合い、そして明かりもほのかになっていくのであった。

記事への反応 -
  • 「来て、くれたんだね」 引っ越してきたばかりの部屋。開けてもいない段ボール箱が壁際に並べられただけの無機質な光景のなかで、ありがみんの目に映るのはめいぼうじんだけだった...

    • 「来て、くれたんだね」 引っ越してきたばかりの部屋。開けてもいない段ボール箱が壁際に並べられただけの無機質な光景のなかで、ありがみんの目に映るのはからぼうやだけだった。...

    • 「やはり来たか。さすがだメイトリクス」 引っ越してきたばかりの山荘。開けてもいないロケットランチャーが壁際に並べられただけの無機質な光景のなかで、ベネットの目に映るのは...

    • めいちゃんは「男の娘」でTS大好きっ子です

    • 「来て、くれたんだね」 引っ越してきたばかりの部屋。開けてもいない段ボール箱が壁際に並べられただけの無機質な光景のなかで、はてなの目に映るのはあめーばだけだった。 「も...

    • 「来て、くれたんだね」 さっきイオン結合を解消したばかりの二人。一切の有機物が存在しない無機質な溶媒の中で、しかし今、しあんさんの目に映るのはあんもにあだけだった。 「も...

    • 「んんっ けふっ」 めいぼうじんがなんどか咳払いをする。 南向きの大きめな窓から、朝日が差し込んでいた。 カーテン越しの柔らかい光が、ありがみんの細いシルエットをコントラ...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん