展望台から流氷が見えるらしいので行ってみた。運動不足を解消するために歩いて行くことにした。
行く途中小学校の前を通ると2階の窓から小学生が俺に向かって「おはようございまーす!!」と声をかけてきたが返事をすることもなく無視をした。
展望台までは3キロ近く山を歩かなければ行けなくて、昨夜降った雪で道は滑りやすくなっていた。
急な坂と雪により半分も行かないところで息を切らし足は全然進まなかった。
ただ前だけはずっと見ていた。そうすると何故か足は止まることはなかった。
中盤にもなると息を切らし、前のめりになりながらひたすら歩いている自分がおかしくて薄気味悪い笑いを浮かべながら歩いていた。
幸い俺のような歩いていくような奴はいなかったので人目を気にする必要はなかった。
そしてあと少しというところで俺は何故か走った。なんだ俺体力あるじゃんと思うのと同時に体はオーバーヒートを起こした。
展望台に着くと立っているだけで足がガタガタといい、過呼吸に近い状態で海を見た。
流氷は風で沖まで流されはるか遠くに白い地平線が広がってるように見えるだけだった。
それは何の面白みのない景色に見えるはずだったが俺はその景色がすごく美しく見えた。
疲れが吹き飛び、俺は歩いてここまで来たという達成感に酔いしれていた。
こんな気持ちを忘れていた。苦労して得た達成感というのは素晴らしいものだと。
達成されなくても前を向いて足を止めない生き方が出来れば大きな自信に繋がるだろうなとか色んな事を考え景色を見ていた。
山を降りるのはすぐだった。疲れることもなく、登る時間の半分もかからずに降りれた。
山登りは人生に似ているという言葉がなんだか分かった気がした。どんな高いところまで行ってもすぐに降りられるんだな。
小学校の前を通るとさっきと同じ窓から今度は「こんにちは!!」と声をかけられた。
ただそれだけのやりとりがとても嬉しかった。