その友人、中学の時にギターを教えてあげて、それからバンド組んで、ずっと一緒に音楽やってきた。どちらかというと、俺の方が音楽に詳しくて、演奏のアドバイスしたり、音楽理論を教えたりしてた。
彼は高校を出て、今は音楽の専門学校にいる。俺は普通の大学に通ってる。
彼は今、オーディションやらライブやらで忙しいらしいが、それでもすごく楽しそうだった。俺は、せっせと資格試験の勉強。
高校の時は、大学に行くのが当たり前だと思ってたし、大学に入る時から、この難関資格を目指すことを決めてた。
だから、俺はこの勉強を精いっぱいやればいいだけなんだけどな。
たまに、自分の部屋の隅に置いてあるエレキギターを見て思う。もし俺が、彼のように、大好きな音楽に向かって突っ走っていたら、今頃どうなっていただろう、と。
べつに、今の生活がいやになったわけじゃないし、自分が音楽の世界でプロになれる才能があるとも思ってない。ただ、高校時代に、もっと夢見てもよかったんじゃないかな、と思う。