いつも通る交差点がある。歩道橋がない、普通の交差点。横断歩道、右折信号つき。
片側3車線ある広い道路で、狭いけど中央分離帯もあって、渡りきれなかったら真ん中で止まれる。
歩行者信号は、幼稚園の子とかも歩いて余裕で渡りきれるから、そんなにシビアではない。
それが前提。
私から見て手前から向こう側に向かって歩いていて、全幅の3/4くらいを渡り終えたところ。
老婆が足が悪いらしく、杖をついている。老爺はそれに付き添って歩いている。
それだけなら別になんてことないんだけれども。
でも、歩行者信号はとっくに赤。というか、渡っている車道側の信号が右折信号に変わりかけてた。
つまりは、車道が緑のときにもずっと渡っていたみたい。
老婆の進む速度は超遅い。歩行者信号が青になった直後に渡り始めても、赤になるまでにはたぶん1車線も行けない。
正直、ごろごろ転がったほうがどれだけ早いかもしれん。
老爺は老婆には優しくしているけれど、通る車に悪態をついている。
老人は大事にしなきゃいけないし、夫婦仲良くていいんだけれども、この道でその行動はないでしょう。
そりゃあ、健康のためには、歩けるなら歩いたほうがいいのかもしれない。老人ならなおさら。
でも、信号を守りたくても守れない状況で、こんなに交通量の多い交差点を渡るのは、自殺行為でしょ。
まわりの車は止まったり避けたりしてくれてるけど、それは好意なんだから、ありがたく思いなよ。
悪態ついてるなら、その元気で「妻に車椅子を使わせたい」とお役所に頼んでみなよ。
その移動速度じゃ、一方通行の細い道の横断だって危ないよ。
……ということを、ちょうど来たバスに乗りながら考えた。