2009-11-30

共産党ビラ投函事件最高裁判決

各紙とも、今日ニュースでは「最高裁判決により、有罪が確定した」とは報じず、「判決確定【へ】」とか「確定【する】」って書いてる。

その理由は、訂正判決(の申立)という制度があるから(刑訴法415条、418条)。

第四百十五条  上告裁判所は、その判決の内容に誤のあることを発見したときは、検察官被告人又は弁護人の申立により、判決でこれを訂正することができる。 2 前項の申立は、判決の宣告があつた日から十日以内にこれをしなければならない。 3 上告裁判所は、適当と認めるときは、第一項に規定する者の申立により、前項の期間を延長することができる。

第四百十八条  上告裁判所判決は、宣告があつた日から第四百十五条の期間を経過したとき、又はその期間内に同条第一項の申立があつた場合には訂正の判決若しくは申立を棄却する決定があつたときに、確定する。

この申立をすれば、10日ほど、判決確定を遅らせることが可能。

つまり、どうしても確定を遅らせたい場合にとられる手段。

確定を遅らせることでメリットがある判決の種類は、あまり多くない。個人的なこだわりを捨象すれば、メリットがあるといえるのは、事実上死刑判決のみ。

ということで、最高裁まで上告して争ったけど結局死刑判決のままだった場合、だいたいこの申立がなされる。

というか、こういう制度がある以上、被告人から明示的に「訂正判決の申立はしなくてよい」という同意というか指示がない限り、弁護人としては申し立てておかないとこわい。懲戒の申立をくらうかもしれないし。

制度趣旨からすると「流用」なので、「訂正なんてあるはずのない判決文の場合にまで時間稼ぎをしようとは不届き千万!」みたいな批判を受けてもおかしくないご時世だけど、今のところはこの訂正判決の申立について、表だった批判を聞かないような気がする。

 

表現の自由がらみの論議には立ち入らない。おかしな主張はだいたい藁人形とかドミノ理論。まず「本件での事実関係」だけを見よう。

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