もう六年とか七年付き合いの人がいる。でも、気がついたら年一回メールをし合うくらいだった。
たまに近況で「俺、今二次創作やってる」とか「俺、今、人物を描くこと頑張ってる」とか言い合うくらいだったんだ。
それが俺にとっての理想だった。毎日毎日、ネットで話し合うことなんかも電話も一緒にどこか行くのも嫌だった。
本当はそうしたいんだ。
でも、俺、本能的に無理だって分かった。
メールをしましょうか? ってノリに答えたら打ち切られていった。
何でも一週間遅れが嫌だったらしい。俺より相手をしてくれる人間が欲しかったらしい。
よろしい、ならばこその方針転換だ。
俺は頑張って打つようにした。話題が尽きようが何だろうが頑張った。
話題を持ってくることもやってみた。相手の趣味や同じもんを見聞きするのも試した。片っ端からやった。
だが、今度はお互いに嫌になるようになった……俺が求めていたのはこんなもんじゃないのに。
嫌になると、良くなるのではないかという希望にすがりついて、関係をぶち壊す連続だった。
百人、千人、色んな人と話した。
ブログで文通するぐらいで良かった。彼女もいらなければ友達もいらなかった。
でも、仲が良いことは悪い事じゃないって思うんだ。良くなるんじゃないかという希望にすがりついて壊した。
いくつ俺は手放したんだろうか。傷つけたんだろうか。俺が傷ついたんだろうか。手放されたんだろうか。
色々と考えるようになって、年一回の電波な野郎のメールを期待している。長く続くなんてそんな奴だった。
「そうか、つらかったろ?」
「うん、つらかった。**さんはどうだった?」
読み返すとこんな感じだが、最後の方はいつもフィーリングが合うのか「長門がいいよ」とかになって終わる。
こういうもんだけなら楽だよな。俺もあいつもお互いに何もしてない。していないが、次の話が俺にとっては楽しかったりする。
でも、相手が気になる俺はたまに反応を見に行く。ケータイ壊した、パソコン壊した、そんな話をされて、昔は違ったとソイツは嘆いた。
そのたびに、俺から「(間の悪いときに来た)俺が悪かった。ゆっくり休めよ。ただお前の文章好きだから愚痴でも何でも許せるわ」と返す。
そう、返さざるを得ない。実際、ソイツの文章は死ぬほど好きだ。電波でも死にたくなるというネガティブな代物でも、ソイツが良いと思う。
受け取ったり返したりする度に、こういう間柄が欲しかったはずだと感じる。
こういう間柄を作ろうと思っていたはずだ。なのに、俺と来たら……。
誰かを分かるとか分からないとか、そんな高尚なもんはいらない。次があるという確証みたいなものが欲しかった。
愚痴? それすらネタだよ。死にたい? ああ、それすら含めて許容できる。捨てようとしても捨てられない。
ただメールを読み物として扱っていたソイツとの付き合いがよかったから、似たようなものを増やそうとしていた。
でも、大抵途切れる。途切れるから必死になっておべっかを買ったりこびたり延々と考えた。まだ答えは出ない。
ほとぼりが冷めた頃に水に流す奴らなんかもいた。そういう奴とも息が長い。
みんな、終わったらそのときで終わったけど、なんか、違う奴もいるんだなと思う。
一年くらいほったらかしにして、頭が冷えた頃にそいつのいる場所にわざわざいったりもした。
「俺、前、悪いことしてすまんかった」
「いや、いいよ。俺もアレだったから」
「まだインディーズ聞いているのか?」
「ああ、最近また新曲出たよ」
「そいつはいい。俺も前みたいに聞こう」
一人で考えて、一人になって、そういうような人から連絡が来るとほっとする。
俺は、そういうものだけでよかったはずだ。
そこに悪意を覚えかねない記し方が転がろうとも、気にならないっていいんだが、九割以上はここまでいかない。
こんなもの友達でも何でもないんだろう。けど、大抵、こういうことがちょうど良い時期にやってきちまう。
死のう死のうと思っていたときにこれじゃあ、俺も死ににくい。もう一度、頑張ろう。
すまん、直そうとしたり、いじったりしたら連投になった……。