当方、地方自治体の臨時職員として働いている。
技術系の職員が9割方を占める部署で、彼らは毎日専門分野の仕事で忙しく、事務にまで手が回らない。
そういう理由で、私は毎日の事務雑務その他諸々を任せられ、充実した日々を過ごしている。
私の住んでいる地区は、今月の初旬、事故もしくは災害とも言えるものに見舞われた。
全国ネットでは取り上げられないが、地方局ではそこそこの頻度で報道される程度の事故である。
報道を見れば大変だなとは思うが、報道されなくなればすぐに忘れ去られてしまう、その程度の事故と思う。
人々の記憶に残ろう何だろうが、事故は事故である。その事故に生活を脅かされる地域住民は数多くいる。
職員は毎日の仕事をこなしながら、事故の対応に深夜まで追われている。泊り込む日も少なくない。
事故が起こった現場周辺を調査。住民説明会実施、委員会の設置。
資料室から過去の資料を掘り起こし、そこから今ある情報を追加して新しい資料を作る。上級職員は対策会議を連日のように開いている。
これら以外にも多くの仕事が積み重なっているだろう。臨時職員たる私が踏み入れられない領域であるため、これ以上のことは知らない。
事故への対応に追われる職員たちを、私は格好いいと思った。光り輝いているようにも見えた。
実際には、禿げ上がった頭に疲れの滲んだ汗が吹き出て、光って見えただけなのかもしれない。
だけど、これが公務員の姿なのだと、私の目には映ったのだ。
しかし、世間はそうはいかない。やっぱり公務員に対する世間の目は厳しい。
「責任逃れのための調査はやめて欲しい」 曰く、地方局のキャスター。
何の得があってそんな調査をするんだ?
何か隠したい事情があるのなら、いい加減な調査をするかもしれないが、そんな事情は多分ない。
連日連夜、休日返上して働いている職員の方々を見ていると、よくもそんな言葉を吐けたものだなと憤慨している。
というのは、事故が起こってからというものの、メディアからの電話が絶えない。
現在の状況はどうなっているとか、住民への対応はどうかとか、そんな内容のが何回も何回も。
その数があまりにも多いため、至急の対応を求められる電話等が遮られている、そんな始末である。
暇なんでしょうね、でもこっちは暇じゃないから早くそこどけよ、電話切れよ。
個人的にはこんな心境である。
メディアっていい加減だなー、本当に調査が進むことを期待しているなら、取材という名の妨害はやめてよー。とありきたりな結論に至る。