沖縄から離れて内地で暮らし始めて早ウン年、という沖縄人の視点で民主党の沖縄ビジョンを眺めながら、少し民主の政策と沖縄の在り方を考えてみたい。
ただし,何の専門知識もない元うちなーんちゅの言うことなので、正確性は期待しないで欲しい。
あと、できれば皆さんの意見(反論など)も聞いてみたいです。
それと、最初に書いておくと私は民主に政権を握って欲しくないです。少なくとも沖縄ビジョンを堅持するなら。
民主の「沖縄ビジョン2008(http://www.dpj.or.jp/news/files/okinawa(2).pdf)」によると、この提言の中で
柱になっているのは、
1.在沖縄基地の大幅縮小
2.「沖縄を活かす」産業による雇用創出機会の拡大と自立型経済の構築
3.世界の知性が集まり交流する「学問・研究の沖縄」の実現
4.自然環境保護と共生環境の再生
の4点。
きわめて個人的な感想を述べるなら、1.は必要だが問題が大きい、2.は大風呂敷広げすぎ,3.は論外,4.のみ積極的に支持、といったところ。
以下、各項目に関して。
1.在沖縄基地の大幅縮小
正直に言うと、私は那覇あたりの出身なので基地問題を深刻な脅威として感じたことはなかった。
確かに、軍用機が通過する際の騒音は結構なものだったが、あまり嫌だった記憶はない。
むしろ、通ってた小学校の設備がいやに豪華だったこと(防音2重ガラス及び冷房が全教室に完備)なんかは
基地があるが故の補正予算で実現されたものであって、快適な環境が得られていたのは基地の存在故であったんではないかと思う。
実際、基地は沖縄に金を運んできている。土地使用料であったり、補助金であったり、軍人さんの消費であったりだ。
個人レベルでみると雇用も創出している。
正確なデータがないので何とも言えないが、多分基地がなくなると沖縄の経済は回らなくなる。
というか、別の形で国からお金を入れてもらう必要が生じる。
それも、今より多くのお金が必要になるのではないか(米軍にどれだけ政府が金を突っ込んでいるのかに依るが)。
なので,性急な基地縮小は現実的でない。
まず、経済の問題を解決する必要があるのではないか。
まぁ民主党も分かっていて書いているのだと思うが、順番としては先ほどの4つのトピックスのうち2.が先で、それ次第で1.に手をつけるんだろう。
なので、2.の話に移る。
2.「沖縄を活かす」産業による雇用創出機会の拡大と自立型経済の構築
提言を読む限りだと、いろんな事業に国が首を突っ込むらしい。
とりわけ、リゾート地として更に発展させる計画のようだ。
勿論、沖縄がさらに収入を得るためには観光資源を積極的に生かすのが良いと思うのだが、そのビジネスの方向性や実行まで国が関わるのは正直不安だ。
現在の第3セクターのひどい状況を見ればこの不安は分かってもらえると思う。
正直、国が事業に口を出すと碌なもんじゃない。
(余談になるかもしれないが、リゾート地としてのさらなる発展を望む一方で、余所者がこれ以上押し寄せることに若干の不安があったりする微妙な感情があったりする。
移住者を募ればビジネス的にはプラスが大きいが、何となく個人的には面白くなかったりする。いや、単なるエゴですねこりゃ。)
それと,この提言で述べたことをすべて実行に移すととんでもない金と時間と県民の協力を必要とするんだが、どこまで本気なんだろうか。
交通インフラの整備なんかはよっぽどうまい策がないと金があっても何もできないと思うが。
ただ、事業の立ち上げを促進するようなマイクロクレジットの強化は歓迎できると思う。
あと、地域通貨ってなんじゃそら?だれかこのメリットを教えてください。
提言内の書き方では意味不明なので。
よく右の方が強調するビザ廃止なんかの話は後ほど。
3.世界の知性が集まり交流する「学問・研究の沖縄」の実現
どのレベルの話をしているのかはよく分からないが、沖縄でないと出来ないこと(たとえば亜熱帯性気候であることに関わる自然に関するものとか)以外の「学問・研究」をやろうとしているのなら全く賛成できない。
まず、地元の人材は研究向きじゃない。
全く競争相手がいない研究ならいざ知らず、全力を注いで成果競争、みたいな真似を進んでやりたがる人間はいないし、正直その能力を備えた人材も少ない。
少し脇道にそれるが、学問や研究の高等教育の前に初等教育を何とかしてほしいのだ。
いい加減学力や所得で全国ワーストが定位置という状態を抜けさせないと、そんなところで学問・研究なんかお笑いにしかならない。
話を戻す。外から人を連れてくるにしても、わざわざ沖縄で研究をしたがる研究者はいないんじゃないのか。
勿論、海洋学や生態学の人々は別かもしれないが。
なので、大学院大学なんかもこのままポシャる気がするし、その方がいいと思うのだ。
伝統文化の保護に関しては基本賛成で、取り組む必要があると思うのだが、これも国が事業としてやるのはどうかと思う内容なので補助にとどめて欲しい。
マルチリンガル化wwwwwに関しても後ほど。
4.自然環境保護と共生環境の再生
これに関しては特に批判はない。
逆に言うと目新しいことでも無く、現在の主流の考えだと思うので。
まぁ、こうやって明言している以上迅速に対応してくれるんでしょう。
以上、これらの点を踏まえ、この提言を好意的に見るとしても、不確定要素が大きく諸手をあげて賛成、ぜひ政権を握ってくれ、とは言い難いと思う。
結局、実行可能なほどに煮詰まっていないのだ。自民党との差異は感じられない。
逆に、裏読みすると、いかにも「ビザ廃止」「地域通貨」「マルチリンガル教育」なんかは東アジアからの人間の流入を目的としているように見え、ちょっと怖い。
別に観光客を増やすためと割り切ればいいのだが、何となくそのために犠牲にするもの(治安だったり、教育時間だったり)が大きい気がする。
(マルチリンガル化なんかはまず日本語をしっかり学ばせるところから始めないと。)
いわゆるゼノフォビアという概念を沖縄の人に適応する時、「外の人間」というのは異国籍人だけでなく、日本本土の人(ないちゃー)も含まれるぐらい、沖縄の人間は(悪く言えば)排他的な面がある。
人道的観点ではなくビジネスの問題で異国人を呼び込むなら、県民感情に注意を払ってほしいと思う。
最後に、安全保障の問題に関してなんだが、これに関しては私は判断ができない。
例えば沖縄が「軍事的に」無防備(直接的な暴力の庇護下にない)状態だったとして、そこに他国が攻めてきて制圧する、ということはありうるのだろうか。
現代戦において,沖縄という島がどの程度地政学的に重要なのか、ということをどなたかぜひ教えて頂きたい。
まぁ結局、沖縄はもっと国に頼らずやっていく方法を模索して頑張るか、生活水準を下げなきゃならんのだろう。
あんまり国におんぶ抱っこだと他の日本国民に申し訳が立たん。