すごい困った。
足首の、踵のちょっと上の筋の辺り、ここ、垢が溜まりやすいんだけど、ここの垢を取ると「全身が」痒くなる病気にかかってしまった。
垢を取らなくても、マッサージ屋とかで足首をグリグリされると、全身痒くなる。
どこが痒いって具体的に判らない。何だか全身が痒い。だからマッサージ屋ですごい困る。
そもそも、この条件を見つけ出すのに、すごく時間がかかった。マッサージ屋で痒くなるって条件だから、最初はマッサージ屋の床にダニがいるのを疑ったりした。
ある日、ふと条件に気が付いた。マッサージ屋行けなくて、足首の垢が気になって、といくつかの条件が重なって判った。
さて、とりあえず痒くなる条件はわかった。
しかし、足首の垢を取らないわけにはいかない。困った。
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俺はそこで、一大決心をした。
垢すりマッサージ童貞を捨てる。全身を異性にいいようにいじられるという意味では処女を奪われる、かも知れない。
足首の垢を取る→全身痒くなる→しかし全身の垢を取る→よっしゃ痒くない、というコンボを夢見た。
まぁ暑いんでサウナに行こうとちょうど思ってたところだ。何もかも満たす為に、東京健康ランドへ行く事にした。ひょっとしたら幼女サプライズがあるかも知れないし。
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とりあえずサウナに入って汗をかいてシャワー浴びて水飲んでサウナ入るを1時間ぐらいループ。うん、汗の線が開いた。気がする。
で、垢すりの予約を入れる。
20分ぐらい風呂に入って、皮膚をふやかさないとダメと言われ、今更のように20分風呂に入る。
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マッサージのオネエサンは、西洋と東洋のハーフみたいな人が来た。一応日本語は通じた。判りにくいけど。
で、足首から垢を取られる。具体的には油をたらしたあと食器洗いみたいなスポンジでゴシゴシやられるのだ。
痒い。足首をこすられると、全身痒くなっちゃうっ……!ビクビク。
よく、耳が弱いっていう女の子いるじゃんか、アレってこういうのなのかな。全身ビクビクしちゃうけど全然よくない。性の感覚とはかけ離れたものだ。俺超Mだから、イジメとしてはいいかも知れないけど。
でも、すぐに足もゴシゴシされた。
おなか、胸、肩、足と全身ゴシゴシされた。
やった、全身こすられてるから、痒いの平気!
これは痒くない、痒くない!やった!
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「アリュガトゴジャマシター」
何人かサッパリ判らないオネエサンに感謝の言葉を述べて、俺は垢すり部屋を出た。
……痒い。
足が痒い。
膝下が痒い。
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結局、ファンタジーはファンタジーで終わってしまった。オネエサンと分かれた後に痒みが襲ってくるのは、まさしく現実に戻されたかのようだった。
Wikiに載ってたが、この病気は結構いろんな人がかかるらしく、原因不明らしい。
どうしようかな。痒いな、足首が。