昼飯も食い終わり、俺達は校舎横の階段に場所を移して、涼宮山奇行伝説について再び話をしていた。
「んで、その犯人がアイツだった、てわけか」
「本人がそう言ったんだから間違いない」
言ったのかよ、といささか呆れながら、何気なーく別棟の屋上に目をやると――。
「朝、教室に行ったら机が全部廊下に出されてたこともあったなぁ」
そこに、ハルヒはいた。遠目からでもそれと分かるのは流石だよ。
「校舎の屋上に星マークをペンキで描いたり――」
しかし、
「学校中に変なお札をベタベタ貼りまくられたこともあった。キョンシーが顔に貼っつけているようなヤツな」
何やってんだ、アイツ。ていうかその前にいる男は……?
「意味わかんねぇよ」
ああ、確かに意味わかんねえ。なあ二人とも、ちょいとあの屋上を見ろ。
「なに、キョン?」
「お、おおお? 涼宮山と……誰だ?」
知らん。
「――――!!」
「――――――」
そして……アレはお辞儀、だよな。
「あ、もしかして」
何だ国木田。
ははぁ、その線があるか。だとすると気の早いことだあの男子学生も。
「マズいな」
何がだ谷口。
「まあ……見てりゃ分かるさ」
「(こくり)――――」
「――――――!?」
お? 首を縦に振った!? まさかOKしたのか?
「終わりだな」
だから何がだ――と聞く間もなく。
「ぅゎぁぁぁぁぁぁぁぁ……」どしゃん。
いきなり男がぶん投げられて屋上のフェンスにぶつかっていた。
うわ、痛そ。
そんな悲惨な状況の男を放って、ハルヒは屋上から出て行った。
なあ谷口、今の一連の流れは何なのか懇切丁寧に教えてくれ。
「……とりあえず教室に戻ろうぜ、そこで話す」