2009-05-10

メルト? 何あの歌詞。馬鹿なの?

とあるサイトで知り合って1年くらい。

最初は男だと思ってた。

下ネタ多いし、言葉遣い汚いし。エロ同人やってるオタクだし。

でも女性率の高いジャンルだから、女だと分かっても特に驚くことはなかった。

ていうか俺恋愛とか興味ないです。

生まれてこのかた、リアルではそういうの縁のない生活だけど、そもそもまったく興味ありません。

はてなでの非モテ議論にもばかばかしくて参加する気が起きないくらいの真性非モテです。

恋愛沙汰にうつつぬかす暇あったら、自分原稿やりたいです。

二次元最高です。

イベントの季節になった。

そいつのスペースに挨拶に行った。

顔は悪くはないけど良くもない。背が小さかった。

憎まれ口を叩かれたので、丁度いい位置に頭があったからぐりぐりしてやったら、

「初対面の女の髪に触るんじゃねーよ馬鹿、お前女たらしかよ」

女だと思ってねーよ。

イベント前に教えあったメアド

普段は1ヶ月に数通、メールをするくらいの俺。

携帯テンキーで返信とかタルくてやりたくなかった。

……はずなのに、なんで毎日くだらないメール送ってんだ?

次のイベントが近づいてきた。

原稿のペースがやばそうだったので、仕上げを手伝ってやることにした。

連絡のためにスカイプ登録。アシストの日取りを決める。

「繋がってると話し込んじゃって時間がなくなるから、やらないことにしてる」

とか言ってたくせに、何だこいつ、よく喋るじゃん。原稿大丈夫なのか?

「意外にいいペースだから、手伝ってもらわなくてもよさそう」

「へー」

じゃあ会うのやめるか、とはお互い言わなかった。

かわりに、遊ぶ場所とか飲み屋とかを探した。

生憎、その日は雨だった。

メールで連絡を取る。

天気予報ウソをついた。よしずみめ」

「『メルト』かよ」

「はんぶんこの傘でもやりますか」

「もう傘持ってるよw 捨てろってか」

でも街は人でごった返してて、傘を広げてると歩きにくかった。

「い、一緒に入ったほうが場所とらなくていいんじゃね?」

自然に言えた。言えたよな。

傘の柄を持つ俺の手に、そいつの手が重なる。手もちっちゃいな、こいつ。

――メルト息が詰まりそう 君に触れてる右手が 震える

――高鳴る胸 はんぶんこの傘 手を伸ばせば届く距離 どうしよう…!

――想いよ届け 君に

なんだよあの甘ったるい歌詞。馬鹿じゃねーの?

飲み屋に入って、だらだらと飲む。

原稿、早めに完成して良かったなー」

「念のため今日だけじゃなくて明日も休みとってたんだけどなー」

ふーん、俺も明日休みなんだよね。

重力に負けてテーブルに突っ伏しかけてる。こいつ、酒弱いな。

「とりあえず、完成乙」

手の届くところにあった頭を、わしゃわしゃ撫でてやる。

「んー」

なんか会話が続かない。

無言で撫でつづける。

そのまま10分くらい経った気がする。いや30分くらい? もう時間がわかんない。

確認してみたら、終電が近い。

黙ってることにした。

髪を掻き分ける俺の手を、握るそいつの手。

「お前さー、女の扱い慣れてるだろ。ホントに女たらしだな」

慣れてるわけねーだろ。

手だけじゃなくて体中震えてるの、悟られないようにするの必死なんですよ。

翌朝、家に帰る電車の中で受け取ったメール

リア充氏ね二次元最高」

「おまえも氏ね二次元最高」って返しといた。

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