昔、痴漢に遭って子を助けたことがある、と思う。
残念ながら確証がない。
場所は井の頭線。
乗ってたらやたら混雑してるのに、すぐうしろぐらいで動き回る女の子がいる。
で、その後についていってるっぽい、ミニポーチの男が一人。まあ、なんか変だなあと思ったわけです。
で、あんまりにぐいぐいくるもんだから、その男の方に、いやどう言ったもんかすごい迷ったんだけど、「痴漢ですか?」と聞くわけにもいかないし、なんと言ったかといえば。
「失礼ですが……」
と言ったんです、自分。その辺、俺のスペックがどの程度かわかるとは思うのですが、まあ当時は学生でもあったし。
「失礼ですよ」
と、すかさず返してきたんですね。
俺、ぶち切れ。まあ本当にそのぐらいのスペックしかない。
結論からいうと、最後には俺がめちゃくちゃ謝ることになった。ミニポーチの男に。
女の子に確認しろって言われるかも知れないけれど、実はこれが要領を得なかった。
イエスでもノーでもなかった。ミニポーチの男とののしりあってるうちに。
「もういいです!」
って言って泣きながらいなくなってしまった。下北沢駅で。
今みたいにホームにブザーとかもないし。あとはまあ気合い負け、みたいな。
何かあると思って何かしようと思ったけど、なんともならなかった? それとも冤罪?
正直、他者として見る分には、痴漢ってさっぱり確認できないんです。
おかしいなと思ったら、むしろ女子に言うべきなの?
なんて言うべきなの?
被害者にも加害者にも、「痴漢ですか?」って聞くわけにゃいかんのですよ。ジョークとして流行らせるのならともかく。
自分が疑われてしまうような時代になってしまってるわけで。
こないだも角刈りのパンチパーマが、競馬新聞広げてOLの回りをうろうろしてると思ったら、どうやら親子だった。親子っぽい会話してた。
事ほどさように、見る眼なし。
そりゃ「失礼ですが」って言った時点で相手がその次に何を言わんとしてるかわかっちゃうんだからほぼクロだろうよ。