2009-03-23

昨日の話

そのとき、電車は行き違い列車の遅れで4分ほど遅れていた。これがリアル伏線

私はそのとき一番後ろの車両に乗っていた。そして、とある田舎の駅に着いたときに、前の車両から乗客が飛び込んできて車掌を呼んだ。どうも急病人とのことらしい。なんでも、隣の車両でおばあさんが突然倒れたらしい。私はおばあさんを見ていない。野次馬に行っても邪魔になるだけだし、介護者のプレッシャーを高めてもしょうがない。

車掌さんは無線で指令と連絡を取り、救急車要請したようだ。乗客の人が、電車を動かすべきだと文句を言っていた。次の駅はわりと大きな町だが、現在止まっている場所はとても田舎だ。山道を町から来る救急車より電車のほうが速い。そう、もし、この電車時間通り走っていれば、おばあさんが倒れたときにはすでに電車が走り出しており、次の駅で救急車を待たせるという対応になった可能性が高い。そして、多分それが最速だった。

しかし、止まっている電車でおばあさんが倒れてしまい、電車を動かして症状が悪化する可能性がある以上、電車を動かすという対応は難しかったのだろう。実際に救急車が来るまでは、それほど長く感じなかったが、10分近くたっていたと思う。救急車が到着するまでの間、一度車掌さんが医師看護師を探しにきた。私は、そのどちらでもないが、救急講習を受けていればと思った。

救急車がついて、救急隊の人がおばあさんをホームに担ぎ出し、AED使用したようだ。しかし、AEDからは自動音声で、除細動の必要はないという声が流れた。もう一度繰り返しても同じだった。そのあと、救急隊の人が心臓マッサージを始めたようなので、おばあさんの脈はなかったのだと思う。こういうときは無理やり除細動を試みたりはできないものなのだろうか。

おばあさんの荷物が下ろされ、心臓マッサージカウントする声が続く中で、電車は発車した。おばあさんの荷物には、おそらく誰かに渡すはずの土産袋があった。自分もいつか、何かをやり残したまま死ぬことになるのだろうか。次の駅では、遅れは20分になっていた。

そのあと、同じ日に乗った飛行機で、隣の席のお姉さんが、山ほど心電図とか生々しい心臓写真が載った専門書を読みふけっていた。

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