定めた搭乗率を下回ったら補填する、上回ったらその分を受け取るというやり方だと、航空会社の経営努力が薄れるという話である。
航空会社の経営努力とは、安価に確実に人や物を運ぶ事であり、集客や需要の掘り起こしを航空会社に求めるのは、筋が違う。
空港を作りさえすれば、定期便が飛んできて、観光客が来て、街が栄えるようになるというのは、航空会社がお客を連れてきてくれるという甘えでしかない。客が来なければ、航空会社が怠けていると主張し、騒音公害だと騒ぎ出し、挙句に、採算が取れないからという理由で路線を廃止しようとすると、地域を切り捨てるのかと開き直る。
これでは、航空会社は慈善事業になってしまう。
羽田のスロットが一杯で、地元と東京を結ぶ新規の航空会社を作りたくても作れないという事情もあるが、地元に空港を作る時点でわかりきっている事であり、空港を作る以上のリスクは背負いたくないというだけでしかない。
自前の航空会社を作れないのであれば、既存航空会社に対する搭乗率保証は、地域がどれだけ本気で旅客を招こうとしているかどうかを見分ける、リトマス試験紙となりえる。
その点、高速道路や整備新幹線の場合、売り上げ高保証のような事が無く、無責任でいられる点が好まれているようである。景気対策として20兆円ばら撒くという話が出ているようであるが、高速道路や新幹線をド田舎に作る為にばら撒かれるのであれば、自民党の命数を使い果たす事になるであろう。財政の赤字は無視できない規模に上っており、これで最後のばら撒きという事になれば、貰うものだけは貰って、次の政権に恩を売る投票行動を取るというのが、人の本性だからである。