死とは何か。
それも、身近な人が死ぬということはどういうことなのか。
過去になる。
この言葉が持つイメージは(少なくともぼくの中では)人が死んだときに感じた感覚と非常に近い。
言葉で考えるのは苦手だ。
感覚が近いというのはつまり、「死ぬ」という言葉を色に例えると紫だとする。
「亡くなる」は黄土色で、「消える」は水色。そして、「過去になる」は同じ紫なのである。
確かに死んだ人はもう戻らない。
どちらも言葉としては対等な関係に見えるが、実際は不可逆の変化だ。
時間が一方にしか流れないように、生から死への変化も一方にしか流れない。
そして、すべての過去から成り立っている。
だから例え誰かが死んでも、その存在は生きている人に含まれているのではないか。
それがよくいう「心のなかで生きている」というやつなのだろう。
想像ではなく、実感として理解できる。
それによって今のぼくは成り立っている。
なるほど、死とは、そういう意味なのか。