2008-12-12

http://anond.hatelabo.jp/20081211184726

ネット書籍に比べてあまりに情報発信のコストリスクも低いから、書籍ほどの信用や信頼を持たないと考えることが出来る。

その結論はまったくその通りなんですが、その理由としてこう書かれていました。

書籍出版にはそれなりのコストリスクを持つため、著者にある程度の信用や信頼がなければ出版できないだろう

この部分は誤解が多いと思うので、編集者の私に説明させてください。

皆さん書籍出版というとおもに文芸ものを想像なさるせいか、著者が「こんなの書いた/書きたいけどどう」と編集者に提案する、みたいな図式を考えることが多いようです。

しかしそれ以外の多くの本、新書、実用書、解説書のたぐいは、たいてい編集者が「こんな本が求められていて売れるに違いない」とまず企画を立てるところから始まります。(編集プロダクション企画を立てて、版元=出版社編集者へ売り込むこともあります)

そしてその内容の原稿を書けそうな人に、「著者になってくれませんか」と依頼をするのです。

「この人がこういうことを書いたら面白い本ができて売れるだろう」という企画もあり、その場合もちろんその本人に執筆を依頼します。

ここで、著者さんが「この部分はこういう章立てがいいと思う」など意見をくださることもあります。そうしたら編集者は著者と話し合って、いちばんよい章立てを考えます。

そしていい原稿が仕上がるよう、編集者は心を砕くのです。

要は、著者に信用や信頼があるにこしたことはありませんが、それは1冊の本が出るかどうかを左右するファクターとしては小さいという話なのです。

書籍ネットより信頼できる理由として大きいのは、個人的には、本の内容について少なくとも著者と編集者という2人の目が通っているからだと考えています。校正によって文章の質だけでなく、数字が間違っていないかなど多方面からのチェックが入ります。

ほとんどの編集者は、本が出た直後なら「あれが書かれているのは何ページあたり」とか即答できるくらいには、中身を読み込んでいます。

さらに校正さん、校閲さんにチェックをお願いすれば、信頼性はもっと上がります。実際にそうするかは、本の内容と予算と日程の関係でいろいろです。

ともかく、1冊の本にかけられている手間が、ネットの文章より大きく上回っている現状が続く限り、書籍への信頼はまだまだ保たれることでしょう。

記事への反応 -
  • 何気なく病院のテレビを見ていたら、 NHKの初心者向けパソコンの使い方講座みたいな番組をやっていて、 ポータルサイトの活用という話だったんだけど、 まず最初に「ポータルサイトと...

    • ウィキペとgoo辞書とはてなとYahoo!と先生が俺の五大神器 というか、一般人はgooとかウィキペでいいみたいだよ。資料としてはボロクズ以下だけれど知った気分になるにはあれくらいでち...

      • それは別にネットに限らなくて「情報」ってのは信用や信頼が前提に無ければいけないって話。 出版物もいつも正しいことを言ってる訳でないし。

        • しかし、書籍の出版にはそれなりのコストとリスクを持つため、著者にある程度の信用や信頼がなければ出版できないだろう、と考えることが出来るが、ネットは書籍に比べてあまりに情...

          • ネットは書籍に比べてあまりに情報発信のコストもリスクも低いから、書籍ほどの信用や信頼を持たないと考えることが出来る。 その結論はまったくその通りなんですが、その理由と...

            • 書籍がネットより信頼できる理由として大きいのは、個人的には、本の内容について少なくとも著者と編集者という2人の目が通っているからだと考えています。 wikiについてはそれこそ...

              • たしかにwikiはたくさんの目が通っている。ただ、それで信頼性が上がるのは事実関係が中心。アニメの放送日とかね。 ものごとをどう解釈するかのレベルだといさかいが起きたりしちゃ...

                • Wikipediaはページや項目ごとに品質の差がでかすぎるんだよねぇ。 ひどいときは論文作法も守らず書いてるのもあるし。

                • 文責を担う人がいないからだよなあ。 文責を担う人とやらがどうして信用できるの? 書籍だって独自解釈の嵐じゃん。 その分野の重鎮が書いた本だって鬼のように批判がつくのが当た...

                  • ケチつけたくてわざと誤読してる?さすがにそれはないと思いたいからレスするよー 文責がいないと信頼性が下がるとは書いてない。文責がいないと事実の解釈を巡ってもめごとが起き...

                    • >文責がいないと事実の解釈を巡ってもめごとが起きてしまう 文責がいてもいなくても事実の解釈を巡ってもめごとは起きるだろ 増田の言いたいことが理解できない >そしてそうい...

                    • もめごとで思い出した。 文責はいるよ?ただwikiに書いた人でなくてwikiを管理する人だけど。 その管理者と「生年別マンガ家一覧」があるなら 「没年別」も必要じゃないか、著作権にも...

            • せめて査読論文クラスのチェックがなされていなければ 書籍は信用できないよ wiki以下

              • 査読なくても一応「同僚や知人の研究者にチェックしてもらいました」という啓蒙書や概説書は多いな。

              • あるラインがあって、信用できる/できないにキッパリ分かれるんじゃなく、信用度数の問題じゃね? 週間大衆よりは週刊新潮のほうが信用できそうってレベルの。だからと言って週間新...

                • よくwikiが信用できないって例に 小倉優子の項とか挙げる奴いるけど 芸能情報なんか活字媒体も全部信用できないって(笑)

              • 査読論文クラスのチェック! って具体的にどういう人がどういう方法でやるの? 単純な興味だけなんだけど、研究者でなくてもわかるように知りたいなあ

              • 査読があっても「ソーカル事件」は起きたよね。 査読の質が大事なんじゃないかな。

          • しかし、書籍の出版にはそれなりのコストとリスクを持つため、著者にある程度の信用や信頼がなければ出版できないだろう、と考えることが出来るが、 出版を商売にしてるからこそ...

    • google:ポータルサイト http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88 元々ポータルとは、港(port)から派生した言葉で、門や入口を表し、特に豪華な堂々とした門に...

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