ある日、私はその子の家に遊びに行った。でも、その子はいなかった。
代わりにその子のお母さんが居た。その子のお母さんは、その子が今お父さんと病院に行っていて、もうすぐ帰ってくるわと言って微笑んだ。
その子のお母さんは、その子といつも遊んでくれるので、わたしにとても感謝していると言って、お茶とお菓子をすすめてくれた。
お母さんの手作りのお菓子を私はなんていうお菓子か知らなかったけど、とってもおいしかった。
わたしはいつも思っていた疑問をおかあさんに聞いてみた。
その子は、ずっと4つぶの魔法のお薬を飲み続けなければいけないの?
お母さんは、まるでわたしのお母さんのように優しく答えてくれた。
「あの子はね、お薬を飲まないと、わたしたちが何気なく暮らしているこの世界が、とっても怖いらしいの。
高層ビルの屋上や高い展望台の上から、下を覗き込むように見たことってあるかしら?
とっても怖いわよね。
あの子にとっては、わたしたちが座っているこの椅子でさえ、そういう怖さを感じてしまうらしいの。
ううん、高さだけじゃない。
深夜二時の深い森に一人でいると、暗闇がとっても怖いわよね。あの子は家の中のちょっとした暗がりが、そんな深い森の暗い闇と同じように怖いらしいの。
そういう「怖さ」が、自分ではどうにも出来なくなって身動き一つ出来なくなってしまうのよね、あの子は。
病院の先生が言ってたのはね、あの子は脳の中で、そういう「怖さ」を抑える物質の分泌がとっても少なくなっている病気らしいの。
先生が言うには、お薬を飲まなければ、普通の生活するさえも本人にとっては苦しいらしいの。
目に見えない病気だから、つい何でこんな暗がりが怖いんだろうとか、椅子に座るだけで暴れるんだろうって昔はわたしも思ってたんだけど、本人は辛かったのね。先生に言われるまで私にはあの子がどんなに辛かったか、わからなかったの。
私は・・・ダメなお母さんよね。」
お母さんの声は震えていた。
わたしにはお母さんの眼に、涙が溢れているように見えた。
家の外に車のエンジン音が聞こえて、止まった。
ドアを開ける音が聞こえ、その子の元気な声が聞こえる。
4つぶのお薬で支えられているその子の明るい声。
わたしはドアを開けて、その子を迎えた。
「このフリスクより小さな4つぶの魔法のおくすりを飲めば、数時間はわたし、幸せな気分でいられるのよね?」 問いかけられたのだから、何かこたえなければと思い、わたしが言葉を...
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お母さんの立場を想像するに、聞いてくれる人がいるだけで踏みとどまれる一線ってあるんだろうなぁ。
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