2008-11-26

賃貸はネットで検索できる時代、それでも足でしか探せない良好物件

「賃貸物件を探すのに不動産屋さんは使えない」

http://d.hatena.ne.jp/tittea/20081122/1227324751

とはいいますが…

これまで何度か引っ越ししたり、不動産業界の端っこの方にひっかかって働いてるうちに小耳に挟んだ話から得た知識を簡単にまとめるので、修正点があったらトラバ下さい。

賃貸物件を扱う不動産屋さんにはいくつか分類があるのですが、まず基本になるのが以下の2種類。

Aは直接町にお住まい地主さんから、物件を預かっている不動産屋さんです。基本的にその土地でずーっと長くやってて、屋号が「〜〜不動産」とかで、店がぼろい、老夫婦経営している、近所の友達がいっつも茶を飲んでる、みたいな所です。

Bは基本的に ABLE みたいな横文字で、店構えも奇麗で、中に入るといかにも営業マン、営業ウーマン風の方に接客してもらえます。

A は基本的に1店舗しかない小さな店なので、そのままでは扱う物件が全然はけないことになります。そこで、 A は B に物件の紹介を依頼します。 B は各駅前に展開した支店インターネット物件紹介雑誌を通して物件宣伝して、 A の持っている物件に入るお客を探し出します。

ですが、全ての物件が B で紹介される訳ではありません。基本的に「B に出さなくても入居者が決まる」優良物件はBに出ません((その方が A の取り分が大きい))。大家さんの意向で大きく宣伝をせず、Aの不動産屋が「人を見て」貸し出す物件もあります。中には独自のネットワークを築き、地域限定で複数の支店と強い宣伝力を持ち、殆ど B に頼らずに物件を捌いてしまう A タイプ不動産屋もあります(これをA+タイプとします)。これらの物件の中には良い物件、面白い物件格安物件が眠っている場合が多々あるので、 A が紹介してくれる物件選択肢から外すのはとても勿体ないと思います。

逆に、比較的新しめのマンションアパートの場合、地主から委託されたデベロッパーがまるごと B に物件をぶちこむ事が多いです。この場合、 A の店には物件は出なくなります。

ここまでで大体お分かりかと思いますが、 B の不動産屋の物件は、たいがいネットから検索可能になっており、逆に A しか持っていない物件ネットで見つける事はできません。ですので、 B の持っている物件についてはネットで検索して、 A のタイプのお店には足を運ぶ…というのが基本的な戦略になります。

が、実は不動産屋のタイプは上記2件だけではありません。不動産屋を足で回ろうとする我々を悩ませる、次の2種類が残っています。実は B の中には店舗を持たず、また直接客と関わらずに、「データベースを構築して不動産屋に提供する」事だけを行う業者が存在します(これを B+ とします)。このデータベースは業者向け専用の物として有料で提供されているので、我々が検索する事はできません。次の C, D はそのデータベースを使って商売をしている不動産屋さんになります。

C は独自のデータベースを持たず、都度都度 B+ の作成したデータベースから間取り図等を引っ張って紹介するだけの不動産屋です。このタイプは(近い地域なら)どこに行っても同じ物件を紹介されるため、最も行く価値のない店です。しかも比較的店の数が多く、店構えや店名で A や C と区別できないので紛らわしいです。が、実際に中に入ると出てくる間取り図が全部FAXの画質だったり、さらに条件を聴いた後あからさまにパソコンで検索を始めたりするのですぐにわかります((但し、A+ タイプ不動産屋が独自のデータベースを構築し、支店同士で共有している場合もあります。この場合他に無い物件がざくざく出てくるので、気をつけて確認して下さい))。前述のとおり B+ の準備したデータベースは我々が検索できないものですが、当然 ABLE や HOME'S もこのデータベースを利用していますので、 C の店にわざわざ足を運ぶ必要はあまりありません。不動産屋のパソコンをこっそり覗き込んで B+ のデータベースの無骨な検索画面を見分けられる様になれば、簡単に C を見分ける事ができます。

D は「町の不動産屋」としては最も多いタイプかもしれません。元々 A でやっていた所が、売上げを伸ばす為に B+ のデータベースから紹介する事も始めた、という経緯でこの業態になっている事が多いと思います。このタイプ店舗は基本的に A と同じ様な見た目、屋号なのですが、張り出してある物件が多い傾向があります。中に入って相談すると独自物件と B+ のデータベースから引っ張った物件を混ぜて紹介されます。こちらは独自物件が見たいので、「他のお店も見て回って来ているのですが、他では出てない物件って無いですか?」と聴いてみるといいと思います。

町中にあって普通に足を運べる不動産屋としては、以上の4タイプのお店が存在します。これらの特徴から、以下の様な戦略不動産屋を回る事をオススメします。

  1. ネットの大手賃貸情報サイトで、大体の「住みたいエリア」を絞り込み、内見したい物件もいくつか決める
  2. 平日に有休を取り(Aタイプの店は「土日休み」が普通なので)、不動産屋に内見を申し込んで内見に行く(この辺までは元のリンクhttp://d.hatena.ne.jp/tittea/20081122/1227324751 を参考に)
  3. 内見に行く道すがら、最寄り駅付近や通り道の不動産屋を覚えておく
  4. 内見が終わったら、見つけた不動産屋のうち「〜〜不動産タイプの屋号(おそらくA,C,Dのどれかの筈)の不動産屋をローラー作戦で回る
  5. 不動産屋に入ったら、貼り出してある間取りや、担当者とのやりとりから、できるだけ速く A, C, D のどのタイプの店かを判断する。もしCだったら早々と切り上げる。
  6. A, D だったら独自物件を紹介してもらい、いい物があれば内見に行く。→行程3に戻る
  7. A, D タイプ不動産屋を回り尽くしたら、別の候補エリア・候補最寄り駅でも同様の作戦を行う

こうして手順を書くと面倒くさそうで、かつ沢山歩きそうですが……これまで3回引っ越ししましたが、毎回こんな感じでやっている((物件選びだけで有給を1-2日使ってる))お陰か、都心なのにとても安く、独身向けとしては比較的広く、かつ多少の音を出してても怒られない、という環境に住む事ができました。ちなみに現在は、同様の手順であちこち歩き回った結果、偶然に家主の方と知り合って、直接交渉して大変良い条件で貸して頂いているという物件に住んでいます。とにかく歩き回る事を厭わないのがオススメです。

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