入院をして手術をした。一ヶ月以上、外どころか部屋から出ることもままならなかった。
カーテンの閉まった薄暗い部屋で痛みと再発の恐怖と戦っていた毎日だった。
何とか日常生活に戻れる状態に回復したので退院をした。
一ヶ月ぶりに外に出た。
季節は春から夏になろうとしていた。
病院内では動き回れても外に出るとやはり私はまだ病人だった。
まず光のまぶしさに慣れなかった。目がチカチカして頭がふらついた。
タクシーに乗った。20分ほど走ると見慣れた街路樹が目に入ってきた。自分の住むアパートに近づいてきた。
街路樹の葉がきらきらと輝いていた。命に燃えていた。世界は鮮やかな色と光に満ち溢れていた。
なんて美しいんだろうと涙が出た。
あんなに美しい風景はそれから出会っていない。
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