定番と言っても良いほどの作品なんで、詳細解説とかあると思うけど
あえて何も調べずに見てきた感じ+パンフの情報だけで俺が考えた解説を書いてみる。
メインが歌+踊りのミュージカルなんであんま意味無いと思うけど
滅茶苦茶ネタバレするので、未見の人でネタバレ嫌な人はスルーしてちょ。
あまりに有名なミュージカルだけど、とりあえず一応あらすじ、
自由奔放なジェリクルキャッツたちが年に一度、一夜のジェリクル舞踏祭に集い、歌い、舞い、
たった一匹、天上の空へ送られ新たな命を授かる猫を選ぶお話。
パンフのあらすじ見た時点で気付くべきだった。
歌は楽しく、踊りは激しく、楽しいお祭とそこで起こるちょっとした事件を観客は猫たちと一緒に体験する。
そして、舞踏祭の最後、夜明けの直前に、天上行きへ選ばれたグリザベラをみんなで見送る。
だけど、ここでちょっとした違和感を感じたわけさ。
だって、グリザベラは舞踏会にほとんど参加していない。天上へ行くために選ばれる資格とはなんなのか?
天上へ行くことで、ジェリクルキャッツは新たな命を得ると言う。
グリザベラが選ばれたのは、単なる憐れみからなのか?違う。
天上へ行くためには、現世に対する失望と絶望、そして孤独が必要だからなのではないか。
天上へ行くための選考されていたのは、章に名前が取られている猫たちであろうと推測する。
ジェニエニドッツは猫としては致命的なほど、でっぷりとして動けない。友達と言えばねずみとゴキブリだけだ。
だが、彼女には大切な友達だ。
ラム・タム・タガーは突っ張りすぎていて周囲に本当の意味で溶け込むことができないでいる。
だが、彼を慕う雌猫たちはたくさん居る。
バストファージョーンズは権力者だが、上り詰めたものの宿命か誰も彼の権力を抜きにして接してくれない。
だが、権力者一流の不感症からか、彼自身それに気付かない。
マンゴジェリーとランペルティーザは小悪党として生きていくことしか出来ない二人組。
だが、お互いを伴侶として生きている。
オールドデュトロノミーは見送る役目なので、その時点で天上への道は閉ざされている。
だが、彼はバストファージョーンズとは違い真の意味での信頼を得ることが出来ても居る。
アスパラガスは自分の過去の輝きが強すぎて、いまの世のありようを罵ることしか出来ない老人だ。
だが、彼の話をみんなは聞いてくれる。
グロールタイガーはそもそも死んでいる。
スキンブルシャンクスは車掌として終わることの無い仕事を続けなければならない。機関車も壊れるし。
マキャヴィティの絶望(※1)はオールドデュトロノミーを殺してしまう(※2)。
ミストフェリーズはオールドデュトロノミーを復活させるほどの大魔術師だが、誰にも理解されない。
だが、彼の魔力を誰もが尊敬し、一目置いている(※3)。
章の名を冠する猫たちは、こんな連中だ。
字面にすると決して楽しいと言える内容ではない。つーか一部は不幸自慢大会のようにも見える。
だがしかし、彼らは誇り高く生きている。
皆と踊ることが出来るし、皆と歌うことだって出来る。
だが、グリザベラにはそれが許されない。
彼女はもう美しくなく、ずたぼろで、受け入れてくれる者は誰も無い。
舞踏会に参加しようとしても、他の猫に執拗と言っても差し支えないほどに拒絶される。
一度も踊ることはできないし、ぼろぼろの彼女にはそもそも踊ることすらできない。
見せ場は、ただただ過去の楽しい思い出を悲しくも美しく歌う、「メモリー」だけだ。
絶望自慢大会たるジェリクル舞踏会へ参加することすら許されないがゆえに、グリザベラが逝く先は天上しか残されていない。
他の猫は、舞踏会が終わり、誰が選ばれるかを待ち受けていた、その一瞬の間隙へ差し込まれた
「メモリー」によってはじめてそのことに気が付いたのだ。
最も深い絶望に居た彼女だからこそ、天上へ上ることで新たな命を受けることを許された。
誇り高きものですら絶望深いこの世界で、真の救いとは天上へ上ること(=新しい命を受けること)であり、
その資格はそのことがわかっている者同士の間にすらも入っていくことが出来なかった者に与えられた。
そうして、舞踏会は終わり、また新しい朝が来る。
長々と書かずに「実にキリスト教的世界観でしたね!」とか言えば済んだんじゃねーかとか思いましたが。
まぁそんなことより常に避けられる身としては猫とうまくやっていける方法を知れたのが良かったです。感想一行かよ俺。
でも仲良くなれる方法はまだわからないのよね。絶望した!
※1 マキャヴィティは自身が大悪人であることを自覚しており、天上へ上がることを諦めていたんではないか。だから舞踏会を邪魔したりしてたんじゃ。
※2 殺したと考えるほうが俺は面白いと思ったんで殺したと思っておきます。
グリザベラは絶望の底にいても決して失わない誇り高さをもっていたから、天上へ行くことを仲間たちからも認められたんじゃないかい? はじめて見たとき(中学生の頃じゃった)、帰...