「完璧な答案などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」
僕が浪人生のころ偶然に知り合ったある予備校教師は僕に向ってそう言った。
僕がその本当の意味を理解できたのはずっと後のことだったが、
少なくともそれをある種のなぐさめとしてとることも可能であった。
しかし、それでもやはり何か問題を解くという段になると、いつも絶望的な気分に襲われることになった。
僕に解くことのできる領域はあまりにも限られたものだったからだ。
例えばマーク模試は解けたとしても、記述式模試では何も書けないかもしれない。そういうことだ。
8年間、僕はそうしたジレンマを抱き続け浪人した。八浪、長い歳月だ。
もちろん、あらゆる手段で志望校に合格しようとする姿勢を持ち続ける限り、浪人することはそれほどの苦痛ではない。
これは一般論だ。