やー、これは酷いねー。
証拠保全は,あくまでも任意の手続であって,実際上,拒絶されたらそれまでである。
証拠保全は強制できないが、裁判所の心証が悪くなることは自明。「プライバシーや企業秘密が侵されるといった正当な理由」を正当な理由と評価するかどうかは裁判官次第。
その程度の正当性は、原告が「セキュリティ専門家」を連れてきて、彼に訴外の情報についての守秘義務を課すという形をとれば、簡単に覆るよ。
その専門家は、デジタルフォレンジックの専門家で、ハードディスクを文字通り洗いざらいコピーするはずだ。
というのは、「ダウンロード違法化」で問題になるのは、複製を所持しているかどうかではなくて過去にダウンロード複製をしたかどうかなので、
ファイルシステム上に一見問題のコンテンツがなくても、ファイルを消した痕跡をも探し出す、とか、ダウンロードログのようなものがもしあればそれもあさる、ということになるから。
で、そのセキュリティ専門家が原告に対して独立しているか、といったことは、裁判官がどこまで厳密に判断するかというと、それはなんとも言えないだろうし、
守秘義務を破って原告に訴外の情報をもたらしたとして、それがバレるかというとそういうものでもなかろう。
しかし,そもそも,証拠保全の危険は,現在においても,現行著作権法に違反していると疑われる場合に存するのであり,他方,現在,各家庭でPC端末の中身を確認する証拠保全が行われたという例は,あまり聞かない。
送信可能化件侵害の場合、圧倒的多数は家庭ではなくてデータセンターなどのサーバ上だろうし、ファイル共有など家庭のPC端末が直接関係するものについては、そもそもほとんど訴訟やってないし、訴訟やっている場合でも、送信可能化の場合であれば、「実際に送信可能であることを確認して証拠に残し、そのIPアドレスの利用者をISPに問い合わせる」ことで足りるから、あまり聞かないってことになるんだろう。ちなみに、ダウンロード違法化については、RIAAが訴訟乱発やる気満々だよ。