2007-11-11

彼が亡くなったことを知らされたのは高校二年生ぐらいの10月。母親からだった。彼は私の中学校の頃の同級生で、中学校在学中もその後も、そう親しくはしていなかったけれど、私に身近な同学年が死んだのは初めてのことだったので、母も私も少し動揺していたように思う。

亡くなった彼は中学校の後半を登校拒否で過ごしていて、だから訃報を聞いた時、私は一瞬自殺なんかを想像した。だが違ったらしい。ついでに、彼は高校には普通に通っていたということを聞いた。

妹はまだ中学生で、その学年には私の同級生の弟妹も何人かいたので、母はその時でも他の同級生の親と話す機会があったらしく、亡くなった事情について色々聞いていたらしい。でも私は、自殺じゃないということ以上は知ろうとしなかった。

通夜葬式の日取りなどもそれとなく知らされたけれど、結局私はいずれにも行かなかった。前述の通り故人とあまり親しくなかったというのもあるし、正直言えば地元の同級生とはあまり顔を合わせたくなかったからというのもある。私は県外の(といってもほぼ隣町だけれど)高校に通っていて、その頃には小中学校の友達とはほとんど連絡を取っていなかった。過去の人関係が煩わしく思えた。

ただ、彼が亡くなったことを知ってから一ヶ月くらい経ったある日、私は思い立って、押し入れに詰め込んで放っておいた中学校の頃の教科書ノートを全て、近くの河原へ持っていった。段ボール箱に詰めて。重かったので、物置に置いてあった台車を使った。

そして、河原で全て焼いた。

焼く前に一通り確かめたら、なんと、亡くなった同級生の名前の入った教科書が一冊紛れ込んでいたことに気付いた。ほとんど開かれることのなかったと思われるその教科書は、私の教科書に比べて、とてもきれいだった。そんなことをやたら鮮明に覚えている。

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