もし時間があまったらいつか作ってくれませんか簡単なのでいいんでと彼女に初めて言ったみたら怪訝な顔をされた
「……手料理ってさー。何がいいの?よく彼女の手料理☆とか言ってるの見たり聞いたりするけどさ。アレ何がいいん?」
「えっ。何がいいって……」
「だって手料理とかいっても、私の料理ヤフーのレシピそのまんまだし。母親に特に教わってないし。家庭の味じゃなくてネットの味だし。誰が作ってもそう変わらんし」
「い、いやー。でもやっぱ愛情?みたいな」
「でも実際には愛情なんて入ってないわけだしなぁ。愛情こめようがこめまいが醤油大さじ1は醤油大さじ1じゃん。愛情があるから美味しいとしたらば、それは要するに食べる側の思い込みの力、昔の薬と同じような効力なんでないか?とするならば、こっそりスーパーで惣菜を買って来てそれをチンして私が作ったよ☆なんて言えば○○(俺の名前)にとっては愛情がこもっているも同然となる…そもそも愛情があるから美味しいかどうかは知らんけど」
「……あの……なんか……すみませんでした……」
「え?なんで謝るの?」
「なんかすみませんでした」
「ていうか今思ったけど愛情がはいっていればいいならカップヌードルでもいいわけか?」
「いや、あれだよ、あれ」
「アレ?」
「その……自分のために、彼女が、作ってくれてるってのがいい、っつーか」
「いや日曜大工はちょっと…」
「料理より私が○○のためにちょいと小粋な本棚でもギコギコやった方が愛情がこもっている気はしないかね」
「でも俺本棚あるし…」
「じゃあメルモ(彼女の家の犬の名)の写真を駆使して作ったわんわんカレンダー」
「い、いらねえー」
「なんだと!メルモが可愛くないというのか」
「メルモは可愛いけど…カレンダーもあるし…」
「そうか…」
「うん…」
「じゃあ○○さ」
「うん?」
「料理作ってよ。私に」
「え?」
「愛情見せてよ」
「お、俺がですか」
「うむ。言いだしっぺがまずやるべき。君が成功したら私も君に愛を見せようではないか」
「でも俺、自炊してるっていっても本当簡素よ?」
「そこを頑張るからこそ愛情を見せられるわけで」
「そうか。よし。作るよ。俺。何がいい?」
「え?なんだ。それでいいの?」
「○○ー。わたしぃー。超新鮮なマグロが食べたいー。てゆうかぁー」
「何急に女子高生になってんの?え?つうか……俺にマグロ漁船乗れという事?」
「健闘を祈る」
バカ
彼女ってツンデレ?それとも女王様? とにかく相性良さそうでワラタ。
手料理ってのはレシピから少しずつ変えて好みの味にしていけるところに意味があるんだと思う。