http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070927/p2
友達が嵌ってた。それどころか俺を巻き込もうとしやがった。当時、俺はマルチ商法に友だちが嵌るなんて小指の先ほども思っていなかったので、よもや、それに自分を巻き込もうとする奴が現れるなんて考えても見なかった。で、連れて行かれたのは渋谷の某所。小さな部屋に知らない人たちとパイプ椅子に座らされた。で、2時間かけて人格改造セミナーとマルチのアイノコみたいなものを聞かされた。
俺はまったくその手のことを知らなかった(いや、あるとは知っていたが、知識だけだし)ので、その2時間は驚きの連続だった。「なるほど、最初に行儀よくしなさいといっておくと、反論できないな」「全員友達同伴だから胡散臭いとすらいえないな」「はじめから高圧的に『これから皆さんの人生をよくする方法を教えます』と言うのは効果的だな」と、それはもう、これまで知らなかったテクニックのオンパレードにうきうきしてしまった。
で、俺はと言うと、そのH会に入りませんか?という問い(横に友達が座ってじっと俺の顔を見ている。部屋の人はみんなそれぞれ押されている)に、ひたすら「いいえ」「入りません」「関心がありません」と答えた。それに対して「人生をすばらしいものに変えるチャンスを無にするのですね」「Xさんの好意を踏みにじるのですね」などなど、揺さぶりをかけてくる。それでも、迷う理由がなかった。俺はマルチはやらない。それだけ。
人生を良くする、皆さんにもすばらしいチャンスをといいつつ、入会しないものにあからさまな揺すりをかけ、かつ、行動の端々に傲慢さを漂わせた興味深い生き物達だった。部屋中俺以外誰も拒絶しないことが不思議だったね。
後日、俺の部屋にその友達がやってきて「最後にもう一度だけ聞くけど、一緒にやらない?」と聞いた。俺、ヤリタイ盛りの20代。そいつ、やられ頃の20代。どういうつもりかね。いや、俺が舐められてたのか(笑)。
マルチなんかやめろ、と言ったが聞かなかった。数年後、「アレ、どうなった?」と聞いたが、「聞かないで、人生の汚点だから」と苦笑していた。まぁ、後ろに手が回ったり風呂に沈められたりしなくて良かったじゃん。どんだけ友達なくしたのかは知らない。