「教師というものは因果な職業です」とでも言いたげな口調で淡々と語るので、脳天気な自分は全く平気だったんだけどそういうのに耐性の無い生徒も多分少なからずいた筈で内心「大丈夫かよ…」とヒヤヒヤだった事を覚えている。
放課後の職員室にて「先生…」「ん?まだおったんか?もう遅いから早く帰りなさい」がその生徒と交わした最後のやりとりでした。という内容だったのでその通りだと思います。でも実はこの件は只の前フリで、少なくとも自分はそこから始まるもう1人の教え子の自殺のエピソードのインパクトがありすぎて、この先生が無神経とか自責の念を感じているかとか感覚が麻痺してしまっているとかはどうでも良くなってしまうのですね。この社会科の先生が社会科の授業中にこんな話をするという事は、「教育」とは?「社会」とは?という問いをこの話を通じて生徒に投げ掛けているという事、つまり先生にとっては教師生活で経験した事全てが自分の仕事にとって、良い言い方では「血肉」、悪い言い方では「(教え子を教育する為の)ダシ」という事だと理解しましたので。
いろいろ思う事は他にもあったりするのですが、一応「もう1人の教え子の自殺のエピソード」の前半部分の概要を。
「私が初めて勤務したのは四日市のとある高校で、そこで森田君という子と非常に親しくなりまして、その生徒とは日本の将来について授業中だけでなく私のアパートでも徹夜で激論を交わしたりしたものです。その後その生徒は東京の大学に進学し三島由紀夫に出会います。」
もし自分が担任である最中の生徒の自殺話であれば、無神経な教師だな。 少しでも自責の念があれば話すことすらためらいそうなものだが。 それとも周囲に自殺が多すぎてマヒしてし...