2007-04-10

逆襲のミソジニー

最近、私が家庭教師アルバイトを勤めている中学生男の子が、同級生からからかわれて悩んでいるという相談を私に持ちかけてきた。君は気が弱くて体も丈夫でないから、あまりマッチョな友達に合わせようとしなくてもいいよ、などということを言ったら、何と彼をからかっているのは同級生の女の子だという。君は女の子にそんな風に言われて黙っているのかよ、と言ったら、「いつか復讐の機会が来るときを待っているんだ」と悪びれずに言われた。

これは私の素朴な実感なのだが、小学校から高校に到るまで、学校の中で女子が常に男子の下に置かれていると感じたことは無い。むしろ、女子のほうが成績が良く、スポーツが出来、課外活動や部活動も真面目で、先生受けが良く、精神的にも成熟していて、学級長や生徒会長ほとんど女子が勤めていたような記憶がある。男子は、これは校風によっても違うのだろうが、一部の優等生を除いては、大抵が落ちこぼれか不良かその両方であり、一部スポーツでは女子以上の活躍を見せるものの、生徒会などに所属している人間を除いては、先生との折り合いが悪かったり、普段の素行に問題があったりして、気を許せる―とお互いに思い込んでいる―「ダチ」の間にいるとき以外では常に弱い立場に立たされていたような感覚がある。特にスポーツが不得手だったりすると悲惨で、ホモソーシャルな「ダチ」の中で最下層に位置づけられるだけでなく、女子≧男子という構造の最下層にも立たされる訳だから、凡そ学校内ではまさしく立つ瀬が無い。私が家庭教師を勤めている中学生男の子は、多分学校内では私が中学生だったときと同じようなポジションにいると思うが、私は女子にいじめられたことは無かったにせよ、男子として女子の上に立つようなことをした記憶は殆ど一度も無い。また、恋愛でも女子が男子リードする確立は高く、男子間の最下層にいる男子はやはり女子には選ばれない。

大学に進学すると、「学校」という閉鎖的な空間の規制は格段に緩んでいくわけだが、そのような「虐げられた」地位にあった男性ミソジニーが爆発するとすれば、おそらく大学から新卒者として働き出すぐらいの時期(必ずしも進学するとは限らないわけだが)がピークなのではないか。校則から開放され、派手に着飾る女子大生には顔を顰めるか、仲間内でセックスの回数を争い、仕事上で女性が権利を主張すると「贅沢を言うな」と言う。やがて時が経ち、自分を上から見下していた、成績優秀な「女子」たちが、自身の視界から完全に消えうせたのを見て満足する。また、「妻」として自身に従う女性の姿を見て満足する。

中学生男の子が、果たしていつ「復讐」を果たす気になるかは定かではないし、本気かどうかも彼の語調からは疑わしかったのだが、上記したようなことを考えた私は、とりあえず「あんまり女の子を悪く言ってやるな」とだけ言っておいた。彼の「復讐」は現在進行形で果たされているのかもしれないのだから。

  • 「逆襲のミソジニー」を書いたものです。該当記事について、若干の補足します。 男子の「ダチ」グループの中で虐げられていた層が何故同じ男性への憎しみを抱かないのかというと、...

  • ■開催の詳細■ 日時:4月15日(日曜日)13:50集合/15:00集合場所出発(予定) 待ち合わせ:JR高田馬場駅 早稲田口降りてすぐのファーストキッチン(BIGBOX一階)前→7時45分くらいから...

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