2007-03-21

みんな幸せだったらいいのに。

売春婦が差別がなんだのという不毛な議論遊びを見ていて、議論の核心とは全く関係ないひとつの話を思い出した。

山文京伝エロ漫画「あしたのあたし」だ。

主人公・綾はお店でトップの風俗嬢。でも、仕事を終えて店を出れば一人の人間だ。マニアック映画ファンで、古いマイナー映画レンタルビデオで借りては楽しむのが綾の日課。

ある日、綾は行きつけのレンタルビデオ店で店員の青年に話しかけられる。いつも借りている監督の別作品を薦められたのだ。マイナー俳優監督の出ている映画についてたずねたりしているうち、綾は青年と少しずつ仲良くなっていく。レンタルビデオ店に通い詰めになる綾。毎日が輝いて見えて、仕事も絶好調だ。

ところが。

ビデオを借りて帰る際に、綾は青年映画のリバイバル上映に誘われた。顔を真っ赤にしてたどたどしく、必死に綾を誘う青年。綾は言葉が出なかった。

「――…ゴメン その日……仕事…で…」

ディバッグの肩紐を握り締めながら、硬い表情で帰る、綾。

1週間以上後。風俗店の同僚がひどく延滞になっているビデオを見つける。綾が借りたものだ。同僚は訊ねる。

「通いはやめたの?」

飽きただけだ、と答え、代理での返却を頼む。綾は仕事に没頭する。従来よりも大幅に多い仕事量。逃げるためのハードワーク。

仕事の中で綾は、自分の仕事について考える。男と肌を合わせながら、青年の姿について考える。表情について考える。ただ話があって楽しかっただけ。それだけ。何も期待していなかった。映画の話で盛り上がれて、それだけで良かった。何も期待なんてしていなかった。何も。

この職業だって嫌いじゃない。むしろこの職業は好きだ。でも、青年の目が。その目が。純朴で穏やかな。

仕事を終えて休憩に入ると、同僚が話しかけてきた。ビデオを返してきてくれたのだ。そして、客を連れてきたので次もよろしく、と言う。

綾が出向くとそこには、いっぱいの花束を抱えた青年がいた。たどたどしく語る言葉は、恋焦がれる者の言葉。愛の言葉

同僚は言う、何事もハッピーエンドが良いのだと。

私は思う。あの漫画キャラクタ一人一人、客も店長も同僚も、青年も綾も、みんなみんなどこかにいて、みんなみんな幸せだったらいいのに。

  • このトラバを見た人は三日以内にここをブクマしないと呪われる

    日がたつにつれ不健康になる。皮膚が黒ずんでくる。一番身近な人の健康が脅かされる。ブラジルの土着の悪霊が取り付く。 ブクマコメントに「ささまか」と書くと呪われない。 http://b....

  • http://anond.hatelabo.jp/20070325000313

    みんな幸せだったらいいのに。 のこと? まあそだね。 箱入りなのかなんなのか、あまりドロドロしたものに触れたことの無い人にはありがちなパターン。

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