若かったけれど、無茶が出来るほど若くはなかった。
例えばお互いが同じ学校の学生だったら、もっと違ったのかもしれない。
相手が自分を異性として気に入ってくれているのは知っていた。
けれどそれには応えられなかった。いや、応えるのを避けた。
避けなければ友人関係が壊れる、自分と相手、友人関係という対等の立場でいたいという自分のエゴイズムの結果だった。
けれどそうするしかなかった。自分独りでは耐えきれない事や耐え難い事が起きたときも、相手の気持ちを知っていながら自分の相談をするだけだった。優しすぎた。自分には優しすぎた。近づけば衝突をするのはもうわかっていた。
突っぱねるでもなく、近寄りもしない。ただそうしてお互い年を重ねた。けれどそれでよかったのだと思うことしか、出来ないままでいる。
もう一昔前の話だ。