半年ほど前になるが、向かいの家の兄ちゃんが自殺した。
私には面識がなく、大きなショックは受けなかったのだが、遺族はどんな風に感じていたんだろうか。
その人の歳は30代前半。
でも鬱持ちだったらしい。
そして子供を置いて実家に戻り、しばらく引きこもった末に自殺である。
ある日、家の前に救急車がやってきた。
そして救急車は誰も乗せずに帰っていった。
お向かいさんの家族は何も言わなかった。
田舎なのでご近所付き合いも盛んな地域、普通はすぐに情報が回るのだが、近所の人はみんな何も知らなかった。
ひょっとしたら兄ちゃんが自殺したんじゃないか?そんな憶測が飛び交っていた。
そんな中、隠れるように親戚だけで葬式が行われた。
近所の人は誰も呼ばれなかった。
ここではじめて誰か死んだんだと確信を持てた。
葬儀が終わってからしばらくして、お向かいさん家族の口から兄ちゃんが死んだと聞いた。
でも自殺とは口にしなかった。
葬儀に誰も呼ばれなかったのは、自殺というのを知られたくなかったのだろうか。
また葬儀に呼ぶ知人がいないほど、人間関係が破綻していたのだろうか。
どちらにせよ遺族にしてみればしんどいことだっただろう。