2009-09-10

何かが終わった瞬間

ちょっといいな、と思っている女の子がいた。

向こうも俺のことを、ちょっといいな、と思っていたはずだ。

タイミングが合えば付き合っていたかもしれない。ただ、残念ながらタイミングが合うことはなかった。彼女が俺にアプローチしてきた時、俺には別の恋人がいたし、その恋人と別れて彼女アプローチしてみようと思った時は、彼女には別の彼氏がいた。故にずっと友達以上恋人未満みたいな関係だった。

先日、久しぶりに再会して、二人で飲みに行った。

思い出話に近況報告、バーでのお喋りは大いに盛り上がり、酒が進んだ。2人ともいい感じにほろ酔いして、さてこれからどうしようか、という時。

今日泊まっちゃおうか」

と、彼女が寄りかかってきた。

普通に考えて、ここでNOと言う男がいるだろうか。

俺は独り身。彼女も独り身。しかも、昔からちょっといいなと思っていて、今でもちょっといいなと思っている相手である。ものすごく魅力的な据え膳のはずだ。

だけど、俺はその瞬間萎えてしまった。

まるで夢から覚めたみたいに、突然目の前の女の子への執着がなくなってしまったのだ。魔法の解けた後の彼女はただのいい歳した女だった。

明日早いからもう帰らないと、と告げて、呆気にとられている彼女を置いていそいそと帰宅した。携帯は着信拒否にした。

勿体ないことをしたのだろうか。

彼女が悪いわけではない。ただ、タイミングが合わなかったのだ。

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