「CDは、そこに入っている音のみで評価されて売れるべきものだと思っている。」
すごく無理がある。
おそらくは彼自身も音のみで評価なんてしていないと思われる。
している「つもり」ではあるだろうけど。
実際音楽をCDに入っている音のみで評価するなんて不可能に近い。
文化的背景なくして音楽は生まれようが無い。
人が作るものなんだから、その人の生きた、人生、社会、時代、そして文化、
そういうものが渾然一体となって、音楽に反映される。
だから、音楽を鑑賞するときには文化背景を知るとより深く鑑賞できる。
そしてそれは演奏する人にとっても同じ。
それこそ「新世界より」の意味を知らずに演奏してるプロなんてほとんどいないだろう。
クラッシックの話で説明すると大仰だけど、JPOPだろうが、初音ミクだろうが、みんなおんなじ。
ダライアスの音楽が好きだって言っても、ゲームを抜きにして音楽の話は語れない。
だって作り手もゲームを抜きにしては作っていないし、
歌っているのは、男か、女か、楽器は何を使っているのか、
いつの時代の何処の国の、どんな境遇の人が何を思って作った音楽なのか。
みんな大切なことだ。
「人間が作っている」ってのはそういうことだ。
逆に、もし彼が頑なに音楽を音だけで鑑賞しているのだとしたら、
それはもったいないから、ぜひもっと、
その音楽が生まれた広い文化や歴史や風土と一緒に鑑賞することをオススメする。
分からなかった音楽が、分かるようになるよ。
音楽を通して、相手の文化に触れることができるようになるよ。
初音ミクが楽しんでいる人は、Pと呼ばれる作り手の試行錯誤にリアリティを感じている人達。
初音ミクの声やキャラクターから沸くイマジネーションを共有することができた人達。
楽しめない人は、音だけを聞いた人達。
文化的断絶があると楽しめないのは、いたって普通のこと。