毎日、「疲れた」「もう老人ホームに預けようか」と話をしているのを聞くと、
カフカの変身を思い出さずにはいられない。
外側で起きたことか、内側で起きたことかという違いはあれど、
虫=痴呆症
という構図だ。
どんなときもいつも優しく迎え入れてくれた。そんな祖母が大好きだった。
ザムザの場合、体は変わっても彼自身の中ではしっかりと考えることが出来ていた。
しかし、良かれと思ってした行動も、酷い外見のあまり相手には受け入れられず、結局害虫のような扱いを受けることになった。
祖母の場合は体は同じでも、しっかりと考えることが出来なくなってしまった。
外側の変身だったら自分は受け入れられていたのだろうか。
自分には、今の祖母を受け入れられる自信はない。
3ヶ月前までのうちだ。うちはようやく施設に入れられた。施設というのを考える事自体が苦渋だったんだけど、問題はその苦渋のあとにじゃあ入れようとしても受け入れ先がどこも満杯...