2008-05-16

記憶からサルベージ

「好き」と言う言葉では足りなくて気持ちが溢れすぎて、でも決して大げさに「愛している」とかよくわからない体から離れた言葉を使ってもまったく用をなさない。

その人のことを考えて悩み疲れて眠っても、いざその人を眼前にすれば募った想いの分だけ自由が奪われてしまって、自然に振る舞えない。

とにかく好きで、死ぬほど好きで四六時中その人が頭に浮かんできて、感情が暴走するのを抑えられないで自分自身に振り回されてばかりだ。

なぜなのか、たぶんひねくれているのと勇気がないせいもあろう、相手に向かってふくらみ続ける気持ちの進行方向とはちょうど逆に、ブレーキの力が加わる。これらが釣り合ったところで思考も行動もとどまり、ただただ堂々巡りの日々。

人を好きになるとなぜこんなに辛いのだろう。世間で言われるような浮ついた感じなんて全然なかった。会っている日だって行動は起こせないくせに休みの日には一目見たくてたまらなくなり、にわかに「何か行動してみよう」だなんて決意した勇気は、明くる日、やっぱり現実現実性の前に霧散してしまった。

いつも通りの日常から一歩先にある世界が遠すぎた。

「いますぐ会いたい」とか切実に思うのはしょっちゅうだった。付き合っているわけでもないのに。

とにかく何もかもが本気だった。

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