2007-04-03

新年度遠距離恋愛の始まりにおける、気持ちの変化。

遠距離恋愛が始まった。距離にして500キロほど先に、彼はいる。お互い長電話できるようにと買ったウィルコムPHSは彼が遠くに行ってからほとんど鳴らなくなった。仕方ない、だってお互い社会人になったんだもの。私はデスクワークなので、トイレ休憩を取るときなどにさっとメールを打つこともできるし、割と自由だ。しかも今は新入社員研修期間。講義講義の間にこまめに休憩が入る。

しかしどうやら彼にはそんな自由も無いらしい。勤務中の携帯およびPHSの携行は禁止。就業後、彼が寮に戻ってくるまで私が送ったメールは読まれずに、ただただメールボックスで開かれるのを待っているのだ。それでも私はメールを送る。くだらない内容でも、二・三行でも。

負担にならないような数を、負担にならないような時間差で。どうかこのメールを読んだときに、彼が笑ってくれますように。疲れて帰ってきた彼が、少しでも笑ってくれますように。

一年前の私なら、返信の遅さにきっと駄々をこねていただろう。会えない寂しさを嘆き続け、彼の前で平気で泣いていただろう。でも、今の私は違う。

寮に入った次の日、彼はこう言ったのだ。「環境の変化についていくのが辛くて、正直泣きそうだよ」今まで弱音を吐いたことがあっても気分が落ち込むだけで、泣きそうなほどの弱さを吐露したことは無かった彼の消え入りそうな電話口での一言に、私は声をあげないようにしてただただ泣いていた。泣いていることを悟られないように、喉の奥に湧き上がる声を必死に押し殺した。彼は私が泣くことを最も嫌がる、ということを私は付き合ってきた一年半の間に知ったから。そしてそのときに決めたのだ。今この人を守れるのは私しか居ない、私が強くなければいけない、と。

寂しい、辛いと私が泣き喚くことは簡単だ。私だって社会人一年目の生活に、疲れることも多々ある。しかし、これまでと環境ほとんど変わっていない自分がまるっきり知らない人ばかりの知らない土地で、一部屋三人の寮生活を送る彼にどんな泣き言を言えると言うのだろうか。それならば、私の存在が少しでも彼にとっての安らぎになれるようにたくさんの笑顔で出迎えて、たくさんの笑顔をあげたい。

自分のため、よりも彼のために頑張ろう。彼が頑張っているのだから、自分ももっともっと頑張ろう。自然な気持ちで、今そう思うことができている。この先何があるかはわからないし、彼に気づかれないようにどれだけ泣くかはわからないけど、それでも乗り越えていこう、と思えるだけの強さを自分が持てたことに、何となく嬉しくも、切なくも思う、新年度の始まりだった。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん