はてなキーワード: 真紅とは
少女の赤い目が、渇いた大地の割れ目を這う何かを見つけた。渇いた大地に適応し生き延びているトカゲの一種だった。少女の瞳孔が開き、真っ赤な瞳がさらに血に濡れたような真紅に染まる。少女は座っていた飛行機の先端を蹴り、跳躍した。白い髪が解けてばさりとなびき、白い肌が強い日差しに透けているようだった。
トカゲは上空から飛来するその白い影に気付き、慌てて大地の割れ目に逃げ込もうとするが、時既に遅し。トカゲを見つめ薄い笑いを浮かべた少女の口がカッと耳元まで開かれ、中から唾液に濡れた真っ赤な鞭のような舌が現れた。少女の舌は一瞬で2メートルほどにまで伸び、尖ったその先端は小さなトカゲを正確に射抜いていた。その舌は、ヌラリとした動きで、仕留めた標的とともに少女の裂けた口の中に収まっていく。
口を閉じた少女は、最初のようにその白さ以外なんの変哲もなさそうな少女に戻っていた。ただその口元からは、トカゲの足がこぼれ出て、苦しそうにバタバタと暴れている。ガリ、と少女が歯をかみ合わせると同時にその足の動きが止まり、かわりに一滴の血の滴りが少女の薄い唇の端から零れ落ちた。