はてなキーワード: トリンプとは
優しくて、賢くって。とても綺麗で。
20歳超えてブラも片手で外せないなんて信じられない。私に自発性を期待されても困る。
汚物をみるような目で、心底哀れむような目で、僕はそういわれた。
ぼきん、と僕の中で何かが折れる音がした。
そうか。協力は求めてはいけないんだ。愛情なんて求めてはいけないんだ。
僕は少ない学生生活の残りを全てブラのホック外しに費やし、一流と言われてもよいような領域に入った。
そして、なけなしの金のほとんどをブラに費やした。
そうか。やっぱり彼女のいった通りだった。とても簡単なことだったんだ。
それから、お金を使うのが惜しくなった僕は、適当に女を探した。
なるべく効率を上げるためには、弱い女が良かった。
部活帰りのくたびれた女子高生や、買い物袋を両手に提げた人妻や、へべれけに酔って足下の覚束ない女子大生。
みんな、簡単に僕に背後を取られ、僕にブラを外された。
僕は人間の弱い部分を知っていた。
自分がとても弱い人間だったから、どこをどう揺さぶれば体の軸が揺れるのか熟知していた。
少し揺さぶり、よろけてこけそうになったところに、そっと手を伸ばしてブラを外せばそれでよかった。
僕があのときや、あのときに、そうできればよかったことを実行すれば良いだけだった。
どんどん弱い人間を効率的に狙って、学習した。そのうち、大抵のブラは外せるようになった。
他人の万能感をへしおるのはとても楽しかった。強い人間になれた気がした。
見逃してください。ひどいことしないでください。私を犯さないでください。
僕は首を縦にふって立ち去った。
最初はとても自分が何をしたいのか判らない変態に思えて何度も何度も吐いた。
けれど、じきになれた。だってさ。僕にトラウマを抱かれても困るだろう?
強い人間には運もよってくる。襲撃も順調にいき、僕はますます強い人間になった。
あるとき、街で僕は彼女に再会した。
僕にトリンプをすすめた女だ。
色々話をしていたが、結局のところ、たくさんの男と付き合い、女を磨き、理想の男を手に入れたと言う成功譚だった。
そうか。と、僕は思った。理想の男なのか。
僕は自分のブラの中から、できるだけ可愛いブラを選び、彼女の男に送付した。
可愛いブラは最初はいぶかしがられたが、僕の誰も見ちゃいないぞと言う手紙を読むと、おそるおそる彼女の男はそれに手を伸ばした。
男はすぐに可愛いブラを着けた。僕はそのときの写真を撮って、それを彼女に送りつけた。
なんだ。彼女の試行錯誤と努力で手に入った関係は、そんなものだったのか。
それから、僕は彼女の背後にとても静かに立った。
彼女は僕にブラを外され、僕の足下に倒れた。
資金が増えてよかったと僕は思った。
彼女がブラをしなくなった。
彼女のブラを狙うのにも飽きてきたので、僕は彼女にさようならを言うことにした。
つきまとわないで下さい、後ろに立たないで下さい、もうやめて下さい、ブラを外さないで下さい、全部ホックが壊れちゃったんです。
どうか、どうか。
彼女は僕が口を開くより先にそう言った。うーん、そうなのか。
僕は言った。
あのね、僕に恐怖や警戒心を抱かれても困るんだよね。
ブラを外されたくない?簡単なことだよね。
「ニプレスを買え」