生まれたときに住んでいたのは地方のど田舎、
山の麓のでかい川沿いにある家だった。家っつっても社宅なんだけど。
ストリートビューで見てみると、無くなっていた。
その家の前の駐車スペースで、俺は初めて補助輪なしで自転車に乗れるようになった。
そこには今は畳屋が建っている。
その次に住んだ家が建っていたのは、同じ県の県庁所在地。
といっても、中心地からは離れていて、歩くと1時間はかかるような住宅地だ。
そこも無くなっていた。ストリートビュー上で見る限り、2011年時点では残っていたようだ。
うちの向かいに建っていた、別の会社の社宅。
そこの庭的なところに草むらと鉄棒が建っていた。それも無くなっていた。
俺はここで一番多感な時期を過ごした。
そこには今は別のマンションと一軒家が建っている。
3番目と4番目に住んだ家は残っているようだ。
3番目に住んでいた家は周辺ではかなり高いマンション(まあ社宅なんだけど)で、
夏になると花火が見えたものだ。今はその視線上にもっと高いサ高住が建っている。
5番目、この頃には俺も18になり、大学進学のために上京した。
ここには10年近く住んだだろうか。家自体はまだ残っている。
だが、近くにあった飲食店は潰れ、駐車場がスーパーになっている。
そしてそれ以上に、大学およびその周辺環境が様変わりしている。
行きつけのラーメン屋が無くなり、定食屋も店を閉めていた。
住んだ家だけじゃない。
小中学校が一緒で、高校になっても頻繁に遊んでいた友人の家が、数年前に無くなっていた。
高校は老朽化が進んだためなのか、ピカピカの校舎に変わっていた。
綺麗な校舎に通える後輩が羨ましいような、寂しいような。そこまで古かったとも思わないのだが。
家の最寄り駅や高校の最寄り駅の前には、綺麗なロータリーが作られている。
祖父母の家はど田舎もど田舎、昔からじーさんばーさんしか住んでいないような地域だった。
だからと言ってはなんだが、家人がいなくなったことで増えた空き地ばかりが目立つようになった。
かくいう祖父母の家も、祖父が亡くなり、祖母が認知症で老人ホームに入居したため、今では空き家である。
街の変わりようを全部ストリートビューで確認できる。すごい時代だ。
そして、自分がいない間に起こった変化に戸惑ってしまう。
特に小中学生時代を過ごしたようなところが様変わりしているのを見ると、なんとも寂しくなってしまう。
幸い、地元の一番大好きなラーメン屋はまだ残っているが、店主ももういい歳だ。
規制したらいの一番に食べに行き、写真でも撮っておこうかと思う。