2011-03-24

世紀末復興伝説

2011年の大震災後、日本中が復興にわき上がった。そして、それから20年、日本は地獄と化していたーー。

人民を蔑み、暴力をふるう日常が、復興庁の役人たちによって行われていたのであった。人民に与えられるべき配給は役人が勝手に横取りし、復興事業の名の下に強制労働が課せられ、下級役人にまで復興を阻害するものへの生殺与奪の権まで与えられる始末であった。

地獄の中、一人の青年が立ち上がった。彼は役人に隠れながら幾多ものを武術を習得し、凶悪な暴力を振るう役人どもを撃破していった。目指すは、荒れ果てた東京の真ん中に屹立する、光り輝く100階建て復興庁ビル。この頂点に鎮座する復興庁長官を打ち倒し、日本に平和をもたらさんとするのであった。

数多くの難敵を倒し、100階にたどり着くと、そこには黙々と書類仕事をこなす、にこやかな一人の老人がいた。彼の名は、ユキオ・エダノ。震災当初八面六臂の活躍を見せ、国民的ヒーローとなった、彼の政治家であった。

彼は震災で荒れ始めた日本を見て、強く復興を志すようになった。そのために、復興に熱意を持たない政治家を次々を失脚させ、復興庁を頂点とする政治体制を築き上げた。一方で彼が権力を握れば握るほど、周りには彼に媚びへつらう小悪党だけが残り、最終的に数名の直属の部下によって全ての情報がコントロールされることになった。彼らは上には順調に復興する日本の姿を、下には羅刹と化した長官の姿を伝えた。その結果、彼の元にもたらされたのは、順調な復興を伝えるための、緑生い茂り、人民の笑顔あふれる、ーー偽造された写真の数々であった。

真実を知り、復興どころか退廃すらしている日本の姿を目の当たりにしたエダノは、絶望のあまり復興庁ビルの頂点から身を投げた。ここに地獄は終わったのだ。

そして、ここに新たな復興伝説が始まる!!

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